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 地球温暖化解析研究チーム(Global Change Analysis Research Team)は、気候解析の様々な手法を用いた研究を行っています。

 世界の大学・研究機関で行われた地球温暖化シミュレーションの計算データ、及び、長期間の地球規模の観測データに基づいて、地球温暖化の検出、地球温暖化を含む長期気候変動・気候変化のメカニズムの解明、地球温暖化予測に用いられたモデルの検証・評価を行います。更に、最新のモデル結果に基づいた長期気候変動・変化予測における不確実性の評価、気候システム全体への影響評価にも取り組んでいます。

 これらの研究から得られた成果は、地球温暖化予測の基礎情報として、地球温暖化情報の信頼性を向上させる上で重要な役割を果たすことが期待されます。また、モデルの検証結果は、モデル開発にフィードバックされ、モデルの高度化に貢献します。

フロー図

 

 

 

 

地球温暖化に伴う赤道準二年振動(QBO)の変化

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

地球温暖化に伴う赤道準二年振動(QBO)の変化

 赤道域の対流圏(地表〜高度約17km)では、活発な積雲対流活動により多くの雨が降っている。赤道域の成層圏(高度約17kmから50km)には東風と西風が約 2年周期で交代している、赤道準2年振動(QBO)と呼ばれる現象がある。QBOは対流圏の積雲対流活動によって生成された大気波動が成層圏まで伝わる事によって引き起こされている事が知られている。
 QBOは赤道域の成層圏で見られる現象だが、その影響は南北方向には北極−赤道−南極へ、高度方向には対流圏から成層圏、更に上空の中間圏(高度約50km〜85q)へと、非常に広い範囲まで及んでいる。例えばQBOが西風の場合と東風の場合では、中高緯度の東西風の強さや地表面の気圧配置が異なる。またオゾン・水蒸気・メタンなどの化学物質の分布も、QBOの影響を受けている。従ってQBOは大気―海洋を含めた気候変動を考えるうえで重要な気象現象の 1つである。
 ところでIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第 4次成果報告書には、温暖化に伴ってQBO がどのように変化するかを示した研究は無かった。非定常重力波パラメタリゼーションを組み込まない気候モデルでQBOの再現に成功している研究グループは我々のグループを含め世界に数例しかない。今回、地球シミュレータを用いて我々の気候モデルを長期間計算し、地球温暖化時のQBOの変化を世界に先駆けて明らかにした。

 帯状平均した赤道上の東西風の時間−高度断面図を図1に示す。(a)が現在気候、(b)が二酸化炭素倍増時である。西風(赤色)と東風(青色)が、ほぼ2年周期で交互に入れ替わりながら、上から下へ降りていく様子が分かる。これがQBOである。現在気候に比べ将来気候では、西風と東風が交互に入れ替わる周期が長くなっている。また西風・東風の強度も弱くなっている。更にQBOの高度が、下まで伸びにくくなっている様子も分かる。このように、地球温暖化に伴ってQBOが顕著に変化することが明らかになった。
 図2に帯状平均した温度及び東西風の緯度−高度分布を示す。温暖化に伴って、対流圏では暖かく(赤色の領域)、成層圏では冷たく(青色の領域)なる。東西風の変化を見ると(図2b)、中緯度の西風が強化(赤色の領域)され、且つ風速0 ms-1ラインが赤道寄りになる。この背景東西風の変化が、中緯度ロスビー波および山岳起源重力波による東風加速領域の位置を変える。結果として赤道から中緯度へ向かう残差子午面循環を強化させ、赤道域の上昇流が増加する。つまり温暖化によってQBOが下に降りようとするのを妨げようとする効果が強くなる。
 IPCC報告書で知られているように、本実験でも温暖化時に赤道上の平均降水量は増加した。結果として重力波がより多く励起され、上部対流圏から下部成層圏では、重力波に伴う運動量フラックスは10-15%増加していた。しかしながら下部成層圏での大気波動に伴う運動量フラックスは、QBO駆動に効果的な比較的小さな位相速度領域では殆ど増加していなかった。温暖化に伴って励起される大気波動と赤道域の上昇流は共に増えるが、QBOが存在する高度では上昇流の効果が上回るため、図1に見られる変化が引き起こされた。

図1 赤道上における帯状平均した東西風の時間−高度断面図。赤色が西風、青色が東風に相当。(b)二酸化炭素倍増時のQBO。
 
 
図2 現在気候と将来気候の帯状&年平均した(a)温度と(b)東西風の緯度−高度断面図。コンターの黒が現在気候、赤が将来気候。赤色(青色)は将来、値が大きくなる(小さくなる)領域を示す。
 
 
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