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| 自動昇降式漂流ブイ(アルゴフロート)による観測を実施し、全球規模から中規模以下のスケールまでの熱や淡水の変動・輸送過程を研究します。 |
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地球上の7割以上を占める海洋は気候変動に対して重要な役割を果たすと考えられています。これは、海洋が大気と比較して蓄えている熱と水の量が非常に大きいためです。大気と海洋は密接に関わっており、大気と海洋との間では海面を介して熱・水等の交換が行われます。海中に入った熱などは海流や渦、湧昇・沈降、混合などにより海洋内部に再配分されます。このような海洋内部の熱などの再分配および輸送を解明することは、気候変動の要因を明らかにすることに繋がっており、この解明のためには、観測によって実態を把握する必要があります。 |
| Argo(アルゴ)フロートと呼ばれる自動昇降型漂流ブイを全球に展開し、地球全体の海洋変動をリアルタイムに捉えることを目指した前例のない大規模な国際プロジェクト =Argo(アルゴ計画)が2000年よりスタートしました。Argoフロートによる全球観測網により、全球の表層から水深2,000mまでの水温・塩分などを測定することができます。 | ![]() |
![]() アルゴフロートと観測サイクル |
| 我々のチームでは、日本国内の他の機関と連携してArgoフロートを全球に展開し、研究に利用するための高度なデータ品質管理を行い、そのデータを公開しています。さらに、太平洋アルゴ領域センター(PARC)の実施機関として、太平洋に展開されている各国のArgoフロートのデータ品質の監視も行っています。 JAMSTECだけでなく全世界のArgoフロートのデータは24時間以内にインターネット上で公開され、即時に誰でも利用可能です。 | |
![]() 2010年11月現在の全球フロート分布:赤は日本のフロート |
![]() 全球のアルゴ領域センター担当機関. 太平洋アルゴ領域センター(PARC)として南北太平洋をJAMSTEC(IPRC)が担当・運営 |
![]() ![]() 上:2010年9月における全球表層塩分(10m)分布 下:平年からの塩分偏差 |
これらの高品質なデータを利用して、気候変動に対する海洋の果たす役割を明らかにするために、太平洋および全球海洋の水温・塩分変動とその変動要因や、日本近海の水塊の形成・配置の変動過程に関する研究を行っています。特に全球の塩分データが得られるようになり、ここ30年の間で、海洋表層の塩分が高いところはより高く、塩分の低いところではより低くなっている傾向があることが分かってきました。この結果は、地球規模での水のサイクル(水循環)が30年の間で強まってきていることを示唆しており、全球の海洋塩分と気候変動・地球規模の水循環とが深く関連していることを意味しています。 |
![]() 最近の観測研究によって、栄養塩などの物質の輸送や植物プランクトンなどの生物活動に、数十から数百kmの大きさの海洋物理現象が大きく影響する可能性があることがわかってきました。そこで我々のチームでは、数十から数百kmの海洋物理現象と生物活動の関係を明らかにするため、アルゴフロートの集中展開を実施します。黒潮続流を挟んで南北に、それぞれ約150km四方の実験海域を設定し、この海域にアルゴフロート約20台を2日程度に一度浮上する設定で展開する予定です。これにより、2日に一度、約150km四方の海域を30km程度の解像度で捉える観測データが得られます。これは、全球で展開しているアルゴフロート観測網の100倍のフロート空間分布密度、5倍の時間サンプリング数に相当し、合わせて500倍の時空間解像度を実現します。こうした時空間的に非常に密な観測を実施することにより、数日から数カ月の時間スケールと数十から数百kmの空間スケールを持つ中規模変動と呼ばれる「海の天気」の解像が可能になります。さらに、これらのアルゴフロートには海水中の酸素濃度を計測するセンサーが取り付けられており、水温・塩分からわかる中規模物理現象と生物活動の変化を同じ時空間スケールで結び付けることが可能になります。実験海域には基礎生産や有機物の沈降を連続的に定点観測する係留ブイがすでに設置されています。また、係留ブイ周辺では、季節ごとの船舶観測により生物サンプルの採取を含む詳細な海洋観測が実施されています。アルゴフロートによる観測に、これらの係留ブイや船舶による観測データを統合して、さらに、人工衛星による海面水温、海面高度、クロロフィル濃度の観測データを合わせて解析することで、「海の天気」を把握するとともに、この現象が、植物プランクトンへの栄養供給、有機物の沈降・分解など、生物活動に与える影響について、これまでになく詳細に把握することを目指します。
現在、物理的な特性と生物地球化学的な特性の計測を統合した海洋観測システムを実現しようと世界の海洋調査研究機関が努力しております。今回実施するフロート・係留ブイ・船舶・衛星を相互に結び付けた観測は、それを世界に先駆けて西部北太平洋において実現するものであり、次世代の海洋観測システムの構築に貢献するものです。
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Argoフロートの展開とデータの高度化、またそのための観測研究を通じて、国際的な枠組みである気候変動とその予測可能性研究計画(CLIVAR)の実施及び全球地球観測システム(GEOSS)の構築に大きく貢献するだけでなく、社会にも役に立つ情報やデータを提供しています。
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