海と陸との熱容量の差を原因とするモンスーンは、熱帯域における主要な循環の一つであるとともに、陸面・海面と複雑な相互作用をしつつ、中・低緯度間の大気・海洋変動を仲立ちする役割を担っています。特に、ユーラシア大陸から熱帯インドネシア海洋大陸にまで到達する冬季モンスーンサージは、南シナ海周辺の各地で社会・経済的にも深刻な影響を与える豪雨をもたらすとともに、ENSOなどの大規模な大気海洋変動にも影響を与えると考えられています。私たちは、インドシナ半島からフィリピン、海大陸にかけての南シナ海周辺での現地観測とその解析、数値モデル実験、各種気象・気候データ解析を基にして、モンスーンに伴う水・エネルギー・物質循環の維持・変動の仕組みを理解し、気候変動との関係を解明するための知見を得ることを目的として研究を行なっています。さらに、長期データの統計解析とも組み合わせることで、モンスーン強度や豪雨発生の長期変動を解析し、地球温暖化、ENSO などの気候変化との相互関係を明らかにしようとしています。また、アジア全域のモンスーンを対象とする国際共同研究、モンスーンアジア水文気候研究計画(MAHASRI)を主導することで、より広域でのモンスーン変動の理解と予測精度の向上をも目指しています。以上の活動を通して、私たちは熱帯気候の形成・変動機構の理解を促進し、全球規模での気候変動機構の解明に貢献したいと考えています。 |