JAMSTEC北極航海ブログ

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マリンスノーをとらえるセディメントトラップ

記事更新日:
2010年9月24日

先日セディメントトラップという機材を北極海の深海域に係留しました。

海の生物粒子や粘土鉱物などの一部は、沈降粒子"マリンスノー"として深海や海底へ輸送されます。セディメントトラップは、この沈降粒子を集めて粒子の沈降フラックスや沈降粒子の組成を調べるための装置です。

沈降粒子フラックスや粒子組成は季節や年によって異なるので、セディメントトラップは、海洋における炭素循環や海洋表層環境の時系列変動を探る手がかりとして利用されています。今回用いる機材には26本のボトルが付いていて、一年後にトラップを回収しにくるまで約2週間おきに沈降粒子を自動で捕集してくれます。

観測船「みらい」は海氷に覆われた水域には進めないので、係留系による観測は北極海の一年を通した時系列データの取得に効果的です。今回係留した海域は、海氷減少が近年著しいとされるエリアの一つです。今後、予想されているように北極海の海氷域が少しずつ減少していくと、中・長期的な視点で北極海の海洋生態系にも大きな影響が広がる可能性があります。そのような可能性を考え、まだ海氷が残っている現在の環境動態を今回の係留実験で少しでも捉えておきたいと思います。

このセディメントトラップ観測を複数年実施することができれば、沈降粒子試料から表層海洋環境の経年変化をより詳しく調べることもできるでしょう。しかし今は機材を投入したばかりです。来年初秋にセディメントトラップを無事回収し再設置に成功するまで、待ち遠しい日々が続きます。

(文責:小野寺 丈尚太郎、写真:佐藤真奈美)

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