地球の歴史を記録した海底堆積物
- 記事更新日:
- 2010年9月25日
現在、地球は深刻な温暖化が進んでいますが、気候変動は現代に限ったことではありません。過去にも、人の影響ではなく自然レベルで大規模な気候変動が何度も起こっていたことがわかっています。例えばこれまでに、5500万年前は北極海の水温が約23℃といった温暖な時期であったことや、2万年前はカナダ全域が厚い氷にすっぽりと覆われているといった寒冷な時期であったことなどが報告されています。
そのように地球の過去の姿を明らかにする方法の一つに、海底の堆積物を用いた研究があります。堆積物中にはプランクトンの遺骸や、陸から運ばれた粒子などが含まれ、海洋や地球の歴史が記録として残されています。
さて、そんな海底堆積物の採取方法ですが、本航海では主にピストンコアラーと呼ばれる採泥機器を用いています。このコアラーには、コア・バレル(海底に突き刺さる中空の金属管)の中に上昇するピストンが付いています。このピストンの動きによりコア・バレルから水が押し出され、最小限のかく乱と圧縮で堆積物を得ることができます。
このように言うのは簡単ですが、実際にコアを採るとなると、数時間におよぶ海底地形の調査や堆積物に対してコアラーの最適な仕様への調整など、やることは山ほどあります。今回私は一研究者として乗船させていただいていますが、本当に多くの方々の協力があって得られるものだと目の前で知ることができました。それでいて、目的に沿った堆積物が得られるかどうかは結局のところ採ってみないとわからないといったまるで宝くじのようなもので、掘削のときはいつも祈るような思いです。
北極海は地球上で最も早く気候変動影響が出るにも関わらず、そのアクセスの難しさから古海洋研究ではいまだ未知の海域となっています。こうして本航海で得られた堆積物コアの分析結果は、近い将来の気候を予測する上で大変重要なものとなるでしょう。
(文責:国立環境研究所/筑波大学 篠崎)
















