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シベリア3大河川の流量変化の原因を解明!

記事カテゴリ:
ニュース, 成果報告
記事更新日:
2012年7月30日

近年進行する北極圏の温暖化は、シベリア3大河川(レナ川、エニセイ川、オビ川)の流量の増加や凍土の融解といった陸域の水循環の変化としても顕著になってきています。特に北極海に流れ込む河川水は、海水の塩分を変化させるため海氷生成量に寄与し、さらに栄養塩の輸送を介して北極海の生態系にもその影響が及ぶため、その流量変化が何によって決まっているのかを読み解くのは北極気候システムを理解するために極めて重要です。これまでこの河川流量の変化は、グローバルな大気循環の変化だけではなく、凍土の融解や植生の変化などに伴うローカルな水循環の影響が指摘されてきており、どちらの効果が大きいのか決着がついていませんでした。

今回、JAMSTECと共同研究を行っているアラスカの国際北極圏研究センター(IARC)のZhang博士とJAMSTECの猪上チームリーダーらの国際研究グループは、大気再解析データを用いて極向きの水蒸気輸送量の変動を見積もり、それを過去60年間のシベリア3大河川流量の経年変化と比較したところ、大気の水蒸気輸送量が1年先行する形で河川流量と統計的に有意な関係があることを明らかにしました。

これは前年の積雪が翌年の夏までに融解して河川へ流れ出る効果が河川流量を説明する主要因で、これまで議論されてきた凍土融解や植生の変化に伴う水循環の寄与は小さいことを意味します。今回の成果は、北極の温暖化増幅や海洋循環を水循環相互作用という視点で理解していく上で極めて重要な知見です。本成果はNature Climate Changeに掲載され、NatureシリーズのResearch Highlightでも紹介されました。

Zhang, X., J. He, J. Zhang, I. Polyakov, R. Gerdes, J. Inoue, and P. Wu (2012), Enhanced poleward moisture transport and amplified northern high-latitude wetting trend, Nature Clim. Change, doi:10.1038/NCLIMATE1631.

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