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北極海上の高層観測で中高緯度の大気循環の再現性が向上

記事カテゴリ:
ニュース, 成果報告
記事更新日:
2013年4月10日

大気の状態を予測・再現するには、陸・海・空で取得された様々な観測データを数値モデルに取り込む必要があります(以下「データ同化」と呼ぶ)。特に詳細な気温や風速などの鉛直分布を取得できるラジオゾンデ観測は、データ同化にとって欠かせない情報源です。しかし、北極海上は観測データの乏しい領域(データ空白域)であり、北極海上の大気循環を中緯度のように精緻に再現することは困難な状況です。

一方、近年の北極海氷の減少に伴い低気圧が頻繁に発生・発達する傾向にあるため、船体着氷・高波・海氷との衝突など、北極海航路上の船舶にとって必ずしも安全な状況とは言えません。北極海上の観測を強化することで、より精度の高い天気予報が実現し、低気圧の進路等が把握できれば、危険を回避できる可能性も高まります。また、海氷の減少が引き起こす北極海上の大気循環の変調は、ユーラシア大陸に異常寒波をもたらすなど中緯度の気候システムにも影響が及ぶため、北半球の大気の流れをより正確に把握するためにも、観測データの乏しい北極海周辺でどの程度観測頻度を強化すれば良いかを事前に評価することが重要です。

そこで、寒冷圏気候研究チームの猪上淳チームリーダーを中心とした研究グループは、海洋地球研究船「みらい」の北極航海で取得した高層気象観測データが、北極海上や日本を含む中緯度の大気循環の再現性を向上させることを、地球シミュレータセンターが開発したデータ同化システムによって明らかにしました。観測データの空白域である北極海上で高層気象観測を実施することは、数値予報における初期値の改善を促し、海氷減少によって荒天に見舞われる北極海航路上の天気予報精度の向上、さらには中緯度の異常気象等をもたらす大気循環の変動をより精緻に予測できることが期待されます。今後は国際連携によって北極海上の観測ネットワークを強化し、予報実験を行うことでより詳細な影響評価を実施する予定です。

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プレスリリース全文(2013年3月7日)

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