海洋酸性化に係る海洋環境変動の現況予測

日本沿海予測可能性実験

人間活動の拡大に伴って大気中に放出された二酸化炭素は、海水中に溶け込んで、海水のpHを下げる効果があることが知られています(海洋酸性化)。産業革命以来、海洋のpHは0.1下がっていると考えられ、この傾向は今後続くことが予想されています。pHの低下は様々な海洋生物に影響を与える可能性がありますが、現在の日本近海でpHがどのような分布になっており、どのような変動をしているかについては詳細にわかっていません。JAMSTECアプリケーションラボは、この問題の理解を進めるためのpHの現況予測を行うことを目的として、海流予測モデルJCOPEを用いた海洋低次生態系・炭素循環モデルの開発を行っています。本研究は笹川平和財団海洋政策研究所の助成を得て行われました。pHの現況予測モデルを開発し、得られたpH変動予測結果を解析して理解を進めています。特に注目しているのは、低次生態系変動がpHの変動に与える影響であり、現在、観測データとモデル結果を比較しながらモデルの調整を進める(図1、2)とともに、pHの現況予測実験を行っています。今後、開発した海洋生態系モデルを、海洋生物活動と海流変動との関係を解明する研究にも活用していく予定です。

図1. 人工衛星AQUAによって取得された海表面クロロフィルの月平均分布(2015年10月)
図2. 現況予測モデルで得られた海表面クロロフィルの月平均分布(2015年10月)

付加価値情報創生部門 アプリケーションラボ

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