プロジェクト概要 背景

海底資源研究への高いニーズに対応し、集中的な研究開発を行うため、海洋研究開発機構は、2011年4月1日より、リーディングプロジェクトとして「海底資源研究プロジェクト」を設置し、巨大な鉱物資源として有望視されている海底熱水鉱床、コバルトリッチ・鉄マンガンクラストの成因解明や探査技術の開発、クリーンなエネルギーとして期待される海底下のメタン生成システムの研究や環境影響評価のための研究を推進して参りました。その結果、様々な知見が蓄積されてきていますが、世界第6位の面積をもつ広大な排他的経済水域(EEZ)に眠る海底資源のポテンシャルを解明するには、まだ多くの課題があります。

今後これまでに蓄積した研究成果と探査・観測技術や分析技術のノウハウと応用して、国が進める資源開発計画により一層貢献するため、海洋研究開発機構は、海底資源研究プロジェクトを発展させ、海底資源研究開発センターを設立しました。

海底資源研究開発センターの目標

海底資源研究開発センターでは、JAMSTECが培ってきた豊富な経験と技術を生かしながら、最先端の調査・研究を行うことにより、将来、我が国が海底資源を利用するために必要不可欠な知見を生み出します。

海底下深部の天然ガス・石炭層環境や泥火山におけるメタンハイドレート環境を中心に、有機物の分解プロセスや地下圏微生物の生態系機能等の実態を解明し、持続的な炭素循環システム(ジオバイオリアクター)の構築・利活用に向けた基盤的・応用工学的研究を行います。機構が有する地球深部探査船「ちきゅう」や海洋調査機器等を活用し、生態系機能を利用したエネルギー再生・循環型の二酸化炭素地中隔離法(バイオCCS:Carbondioxide Capture and Storage)の開発や、海底下微生物が有する有用遺伝子機能の開発、さらに地下生命圏における新しいエネルギー獲得系の探索等に関する、地球科学-生命科学を融合した最先端研究を展開します。

海底および海底下熱水金属硫化物鉱床の成因の原動力である海底下熱水循環と、それに付随する熱水駆動海底下生命圏の規模・存在様式・相互作用を、現場環境と実験室レベルで明らかにします。また、JAMSTECの有する様々な研究開発ポテンシャルが、科学目標の解明と探査・開発において同時並行的に主導的役割を果たせることを目指します。

石油の起源生物シアノバクテリアと当時の環境との関連性、メタン生成場の環境条件、メタン以外の炭化水素の生成などに焦点を当て、新たな研究法を開発することによって知見を生み出し、炭化水素エネルギー資源の起源と生成プロセスに関する全体像の理解を目指します。

地球化学的手法を活用して、今まで生成年代を決定することが困難であった鉄・マンガンクラスト、石油・石炭鉱床、火山性塊状硫化物鉱床の生成年代決定を行い、鉱床成因論への新たなブレークスルーを目指します。また、微小領域における化学種の同定、高精度・多元素同時分析技術を駆使することにより、白金族元素等も含めたレアメタルの濃集機構の解明・資源ポテンシャル評価を行います。さらに、微生物学的視点での検討を加えることにより、元素の濃集機構と生物活動(バイオミネラリゼーション)の関連の解明を目指します。

生物多様性の現状把握・保全等を目的とした調査対象海域の生物多様性と生態系モニタリングに関する研究を進めると共に、環境影響評価・海洋保護区などに関連する国内外の最新の動向を把握し、研究成果や提案の発表などの情報発信を行っていきます。