海底資源について
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海底熱水噴出域

海底の熱水噴出孔は、有用な金属をたくさん含み、金属鉱床となる可能性を有しています。熱水噴出孔の周りには、煙突状の「チムニー」がつくられます。これは、銅や亜鉛、鉛、金、銀などの硫化物が堆積したもので、高さ10mに達するものもあります。日本周辺では、沖縄トラフや伊是名海穴、伊豆・小笠原弧などで大規模な熱水噴出孔が発見されています。

鳩間海丘のデッドチムニー

鳩間海丘のデッドチムニー

第四与那国海丘のブラックスモーカー

第四与那国海丘のブラックスモーカー

鉄マンガンクラスト

海山の斜面や頂部に玄武岩や石灰岩等の基盤岩を覆うように存在する鉄・マンガン酸化物で、数100~数1000万年をかけて成長したと考えられています。特にレアメタル(*1)の一種であるコバルトに富んだものをコバルトリッチクラストと呼んでいます。北西太平洋に点在する海山に多く分布しています。

琉球海溝のクラスト

琉球海溝のクラスト

北西太平洋のクラスト

北西太平洋のクラスト

メタンハイドレート

海底下のある温度圧力条件のもとで、水分子がメタン分子をかご状に取り込んで氷状に固まったものがメタンハイドレートです。このメタンの起源は、海底下の有機物の熱分解によるものと、微生物活動によって生成されたものがあります。日本近海には広く分布していると考えられています。

日本海上越沖の海底に露出しているメタンハイドレート

日本海上越沖の海底に露出している
メタンハイドレート

泥火山

海底下の地層には泥質の物質が存在する層があり、それが周囲の地層からの圧力等によって海底面上に噴出した結果できた山体を泥火山と呼びます。プレートの沈み込み帯付近に分布していると言われており、日本では南海トラフや種子島沖に存在しています。
これまで行われてきた海底下構造探査により、熊野トラフの地下にはメタンハイドレートの存在下限を示すBSR(Bottom Simulating Reflector:海底擬似反射面)が確認されています。これらの層が地震等により上昇してきた泥ダイアピル(圧力差や密度差によって下部の流動的な物質が上昇する現象)によって分解され、急激なメタンガス・泥の噴出を促した可能性があります。熊野灘第五泥火山の中心で掘削されたコアからは、メタンハイドレートが回収されています(地球生命工学研究グループのページ)。

熊野灘第五泥火山

「うらしま」のサイドスキャンソナーで捉えた
熊野灘第五泥火山の詳細海底地形(*2)

レアアース資源泥

最近の研究で、太平洋の海底堆積物中にレアアース(*3)が多量に含まれていることが発見されました。これは「レアアース資源泥」と呼称され、新しい海底鉱物資源として非常に注目されています。レアアース資源泥の成因として、プレートが生まれる海嶺の巨大な熱水活動が関わっていることが示唆されていますが、どこにどのぐらい存在しているのか、まだ全体像がわかっていいなため、今後の調査が必要です。また、「レアアース資源泥」の研究から、過去数千万年間の太平洋の物質循環の復元ができることが期待されます。


JAMSTECがこれまでに太平洋で採取した
堆積物コアの分析を始めています

マンガンノジュール

マンガンノジュール(マンガン団塊)はマンガンと鉄を主体として、ニッケルやコバルトなどのレアメタルを含有しており、最近は銅の含有量が注目を集めています。マンガンノジュールの組成はマンガンクラストに似ていますが、より水深の深い深海底に分布しています。ハワイ島南東沖のクラリオン-クリッパートン海域では、国際海底機構(International Seabed Authority: ISA)のもとで、開発に向けた鉱区の設定がなされています。現在JAMSTECでは海底資源としての研究対象にはしていません。

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(*1)レアメタル

銅、亜鉛、アルミニウムなどのベースメタルや、金、銀などの貴金属を除く、産業に利用される非鉄金属をレアメタルと呼びます。コバルトリッチクラストには、マンガンをはじめ、ニッケル、コバルト、モリブデン、チタン等のレアメタルが含まれています。レアメタルは、中国・ブラジル・インドなどの経済成長や、電子部品に対する需要により、近年で価格が数倍以上に跳ね上がっているものもあります。

(*2)木下・月岡 (2006), Blue Earth, 86, 1-2.

(*3)レアアース

ハイブリッド車のモーター、LED、コンデンサ、家電等様々な用途に使用されています。日本は世界の需要の約半分を占めています。レアメタルやレアアースは、産出量の割合が特定の国に偏っていることが多く、特定の国に頼らない安定供給元の確保が望まれています。