海底資源探査技術
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調査船による海上からの調査
マルチビーム測深機(Multi-Beam Echo Sounder : MBES)

12~50kHzの複数の鋭い音響ビームを海底に向け送信し、海底からの反射波から海底地形を計測します。学術研究船「淡青丸」、地球深部探査船「ちきゅう」を除くすべてのJAMSTEC船に装備されています。広域調査では、まず始めに船底に装備されたMBESによる地形調査が行われます。

MBESの模式図
海底地形

マルチビーム音響測深機で得られたデータをもとに作成された海底地形図

計量魚群探知機

海洋調査船「なつしま」には、計量魚群探知機が搭載されています。この機械の目的は発信した音波の反射により文字通り魚群の探知を行うことですが、メタンガスのバブルが海底から噴き出している様子が捉えられることがあります。

サブボトムプロファイラ(Sub-Bottom Profiler : SBP)

4kHz前後の比較的周波数の低い音波を使い、海底下の地層面などからの反射波をとらえて海底下浅部の構造を探ります。深海潜水調査船支援母船「よこすか」や深海調査研究船「かいれい」に搭載されているMBESにはSBP機能が付加されています。

調査船のSBPで得られた海底下浅部構造の例

調査船のSBPで得られた海底下浅部構造の例

地震波探査システム

圧縮空気を解放するエアガンという装置で人工的な地震波を発生させ、地中を通過・反射して戻ってきた地震波をストリーマケーブルの受振器でとらえて、その信号から海底下の構造の様子を調べます。ひとつの受振器で地震波をとらえるシングルチャンネル反射法地震探査(Single-Channel Seismic reflection : SCS)、多数の受振器で地震波をとらえ、地下の速度構造の推定に有効なマルチチャンネル反射法地震探査(Multi-Channel Seismic reflection : MCS)、海底に設置した海底地震計(Ocean Bottom Seismograph : OBS)で地震波をとらえる屈折法地震探査があります。

地震波探査法の模式図

地震波探査法の模式図

重力計・磁力計

重力計と磁力計は、「よこすか」と「かいれい」に搭載されています。重力計は船舶が居る地点の重力を計測して海底下の地質の質量を調べ、重力の変化から海底下に存在する物質の違いを認識し、その分布を捉えます。磁力計はその地点での磁気異常を検知して、物質の違いと分布を把握します。

ドレッジ

ケーブルやチェーンで結ばれた円筒形または箱形の容器(ドレッジャー)を船舶で引きずり、海底の堆積物や岩などを採取する装置です。無人探査機のようにピンポイントで欲しいものが手に入るわけではありませんが、仕組みが単純で扱いやすく、どのような船舶でも使えるという特徴があります。

ドレッジの回収

ドレッジャーを回収するところ

コアサンプリング

海底面近くの堆積物を調べるためには、マルチプルコアラーやボックスコアラーという採泥器を使用して、海底表層数10cmの堆積物を採取します。

マルチプルコアラー

マルチプルコアラー

ボックスコアラー

ボックスコアラー

一方、深さ方向の地質プロファイルを知るために、ピストンコアラーという採泥器を海底面に突き刺して、柱状試料(コア)を採取します。JAMSTECでは最大20mまでのピストンコアラーを使用しています。また、地球深部探査船「ちきゅう」などによる掘削によって、さらに深い場所の堆積物や岩石のコアが採取できます。

ピストンコアラーによる堆積物コアの例

ピストンコアラーによる堆積物コアの例

「ちきゅう」のコアカッティングエリア

「ちきゅう」のコアカッティングエリア

音響航法装置(Acoustic Navigation System : ANS)

海中の探査機や調査機器の位置を音響信号の送受信によって計測します。この機械は直接鉱物資源を測るものではありませんが、探査機や調査機器が海中のどこで調査しているのかを、できるだけ正確に知ることは非常に重要です。JAMSTECの調査船にはSuper Short Baseline(SSBL)方式と呼ばれる音響航法装置が搭載されています。

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無人探査機などによる海中からの調査
マルチビーム測深機(Multi-Beam Echo Sounder : MBES)

原理は海上での探査と同様で、深海巡航探査機「うらしま」に搭載されています。船舶からのMBESと比べて、400kHzの高い周波数の音波を使用し海底面近傍で探査を行うため、高い精度の海底地形を得ることができます。

船上のMBESで得た海底地形

船上のMBESで得られたデータを基に作成された海底地形図

うらしまのMBESで得た海底地形

「うらしま」のMBESで得た同じ範囲の地形図

うらしまのMBES
サイドスキャンソーナー(Side Scan Sonar : SSS)

「うらしま」や深海曳航調査システム「ディープ・トウ」に搭載されます。探査機の左右に扇型の音波を発信し反射波から音響イメージを作成します。MBESが海底地形のデータを数値として取得するのに対し、SSSで得られるデータは音響による海底の写真画像です。音波が発信され、最初の海底に到達するまでの反射波のない時間(空間)はウォーターカラムと呼ばれ、本来はなにも写らない区間ですが、熱水噴流域ではモワっとした煙のような形で検知されることがあります。

うらしまのSSS
うらしまのSSSで得たゆらぎ
サブボトムプロファイラ(Sub-Bottom Profiler : SBP)

「うらしま」や「ディープ・トウ」には深海用のSBPも搭載されており、海底下数十mの様子を探査することができます。MBESと同様に、船上から行うよりも高い精度の探査を行うことができます。

磁力計

船に搭載された磁力計と同様に、磁気異常を検知することで、物質の違いと分布を推定します。「うらしま」などの探査機に搭載されます。海底の近くで計測するため、船上に比べて磁気異常をより明確に検知することができます。

採水器

「うらしま」に採水ボトルを多数搭載し、調査海域の複数地点での海水を採取することができます。採取された海水は船上で海水成分のプロファイルが解析され、メタンガスの発生域や熱水噴出域の存在などの推定に役立てます。これとは別に、3000m級無人探査機「ハイパードルフィン」や無人探査機「かいこう7000 II」による採水も行います。

化学センサー

海底熱水噴出孔から熱水と共に噴出される硫化水素(H2S)等の化学物質や、熱水成分によって影響を受けるpH等を計測します。成分の計測に時間がかかる場合、前記の採水器で取得した海水サンプルに対して時間をかけて分析が行われます。

カメラ

「ハイパードルフィン」や「かいこう7000 II」などのROVや有人潜水調査船「しんかい6500」には、スティルカメラやビデオカメラが搭載され、海底の様子を実際に観察することができます。MBES、SSS、磁力計、化学探査などで熱水域などの位置を絞り込み、最後にカメラによって直接観察を行います。ブラックスモーカーやホワイトスモーカーなどの特徴的な現象や、鉄マンガンクラストの産状をつぶさに観察することができます。

「ハイパードルフィン」の中央に設置されているカメラ

「ハイパードルフィン」の中央に設置されているカメラ

「ハイパードルフィン」コントロールルームのモニタ

「ハイパードルフィン」コントロールルームのモニタ

サンプリング

「ハイパードルフィン」や「かいこう7000 II」などのROVや「しんかい6500」には、作業用のマニピュレータが装備されており、海底の岩石などを採取することができます。船上に揚収されたサンプルは鉱物分析、化学成分分析や年代測定に用いられます。

「ハイパードルフィン」のマニピュレータ

「ハイパードルフィン」のマニピュレータ

「ハイパードルフィン」でのサンプリング

「ハイパードルフィン」でのサンプリング