資源成因研究グループ

地球化学的手法を活用して、今まで生成年代を決定することが困難であった鉄(Fe)・マンガン(Mn)クラスト、石油・石炭鉱床、火山性塊状硫化物鉱床の生成年代決定を行い、得られた年代値と地球化学的特徴に基づいて鉱床成因論への新たなブレークスルーを目指します。また、微小領域における化学種の同定、高精度・多元素同時分析技術を駆使することにより、白金族元素等も含めたレアメタルの濃集機構の解明・資源ポテンシャル評価を行います。さらに、微生物学的視点での検討を加えることにより、元素の濃集機構と生物活動(バイオミネラリゼーション)の関連の解明を目指します。

具体的な研究テーマとしては、

  • 鉄・マンガンクラスト:
    Os(オスミウム)同位体による生成年代決定を行い、成長速度の解明・成長停止期間(ハイエタス)と古海洋環境変動の関連の解明を行うと共に、 クラスト資源量の評価方法の確立、資源ポテンシャルの表示システムを開発します。
  • 石油・石炭鉱床:
    Re(レニウム)-Os同位体を用いた年代決定法により、石油・石炭資源の生成年代決定と生成メカニズム・深部炭素循環の解明を行います。
  • 海底熱水硫化物鉱床:
    ICP-MS/AES * による微量元素分析およびS(硫黄)、Pb(鉛)、Os同位体分析により資源ポテンシャル評価と金属元素起源の解明を行います。
    * 誘導結合プラズマ質量分析器:Inductively Coupled Plasma - Mass Spectrometry、発光分光分析器:Atomic Emission Spectrometry

  • 陸上の火山性塊状硫化物鉱床(別子型鉱床、黒鉱鉱床):
    日本列島付加体中に産する様々なタイプの鉱床の規則性を明らかにすることで、現世海底鉱物資源の探査指針を決定します。
  • 微生物活動と鉱床生成:
    バイオリアクターを利用して微生物による希土類元素濃集機構を解明し、バイオミネラリゼーションと鉱床生成の関連を明らかにします。
Re→Os

【上左図】187Reから187Osへの半減期は約416億年で、地球の歴史を完全にカバーできる年代決定が可能です。

【上右図】Re-Os同位体を用いた和歌山県飯盛別子型鉱床の年代決定例(Nozaki et al., 2010)。187Re/187Os比と187Os/188Os比でアイソクロン(等時線)を引き、その傾きから年代を決定します。Re、Osは鉄・マンガン酸化鉱物、硫化鉱物、有機物に濃集する性質があります。つまり、Os同位体を使うことにより、鉱床成因論に深く関わる鉄・マンガンクラスト、硫化物鉱床、黒色頁岩、石油などの年代を"直接"決定することが可能です。

ゆらぎ

キプロス島における露天堀り鉱床の一例。過去の海底熱水活動により形成された鉱床です。

鉄・マンガンクラスト 久根別小型鉱床硫化物鉱石

鉄・マンガン酸化物およびマンガン酸化物鉱床は酸化的環境で生成・沈殿して形成され、マンガン炭酸塩および銅-鉛-亜鉛硫化物鉱床は還元的環境で生成・沈殿して形成されます。このように、古海洋環境変動と鉱床生成との関わりは、鉱床の究極的な成因を解明するうえで極めて興味深いテーマの一つです。

引用文献:
Nozaki, T., Y. Kato and K. Suzuki (2010), Re-Os geochronology of the Iimori Besshi-type massive sulfide deposit in the Sanbagawa metamorphic belt, Japan. Geochim. Cosmochim. Acta, 74, 4322-4331, doi:10.1016/j.gca.2010.04.055