地球化学的手法を活用して、今まで生成年代を決定することが困難であった鉄(Fe)・マンガン(Mn)クラスト、石油・石炭鉱床、火山性塊状硫化物鉱床の生成年代決定を行い、得られた年代値と地球化学的特徴に基づいて鉱床成因論への新たなブレークスルーを目指します。また、微小領域における化学種の同定、高精度・多元素同時分析技術を駆使することにより、白金族元素等も含めたレアメタルの濃集機構の解明・資源ポテンシャル評価を行います。さらに、微生物学的視点での検討を加えることにより、元素の濃集機構と生物活動(バイオミネラリゼーション)の関連の解明を目指します。
具体的な研究テーマとしては、
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【上左図】187Reから187Osへの半減期は約416億年で、地球の歴史を完全にカバーできる年代決定が可能です。
【上右図】Re-Os同位体を用いた和歌山県飯盛別子型鉱床の年代決定例(Nozaki et al., 2010)。187Re/187Os比と187Os/188Os比でアイソクロン(等時線)を引き、その傾きから年代を決定します。Re、Osは鉄・マンガン酸化鉱物、硫化鉱物、有機物に濃集する性質があります。つまり、Os同位体を使うことにより、鉱床成因論に深く関わる鉄・マンガンクラスト、硫化物鉱床、黒色頁岩、石油などの年代を"直接"決定することが可能です。
![]() キプロス島における露天堀り鉱床の一例。過去の海底熱水活動により形成された鉱床です。 |
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鉄・マンガン酸化物およびマンガン酸化物鉱床は酸化的環境で生成・沈殿して形成され、マンガン炭酸塩および銅-鉛-亜鉛硫化物鉱床は還元的環境で生成・沈殿して形成されます。このように、古海洋環境変動と鉱床生成との関わりは、鉱床の究極的な成因を解明するうえで極めて興味深いテーマの一つです。
引用文献:
Nozaki, T., Y. Kato and K. Suzuki (2010), Re-Os geochronology of the Iimori Besshi-type massive sulfide deposit in the Sanbagawa metamorphic belt, Japan. Geochim. Cosmochim. Acta, 74, 4322-4331, doi:10.1016/j.gca.2010.04.055