25年の軌跡

2001年(第596~643潜航)

2001年3月11日
南西諸島海域で通算600回潜航達成
2001年5月18日~6月11日
伊豆・小笠原、南海トラフ、駿河湾調査
2001年6月25日~7月24日
日本海溝、千島海山、日本海調査
2001年7月21日
大洗港で一般公開
2001年12月7日~12月31日
インド洋回航~インド洋調査開始
2001年
船内照明灯を電球からLEDに交換
2001年
ビデオカセットレコーダーをS-VHSからDV-CAMに交換

3月1日に横須賀港第4区にて沈降試験を行った後、南西諸島海域において3回の試験潜航と6回の訓練潜航を実施した。その後、5月18日から6月11日の間、伊豆・小笠原、南海トラフおよび駿河湾などで地形地質調査を主体とする潜航調査を15回実施した。6月25日から7月24日の間、日本海溝、千島海山および日本海にて地形地質調査および冷湧水生物群集調査など15回の潜航調査を実施した。7月21日には、大洗港に入港し一般公開を行った。7月30日からは「しんかい6500」とって初めてとなる真夏の中間検査工事が開始された。これは1月から2月に夏シーズン(海況が安定)を迎えるインド洋を調査するための前倒しの検査工事だった。
11月1日に復旧後の潜水船の健全性を確認するため横須賀港第4区で沈降試験を実施後、南西諸島海域で2回の試験潜航と4回の訓練潜航を実施した。
12月7日「よこすか」は「しんかい6500」を搭載し、インド洋向け出港した。回航途中の12月18日オーストラリアのポートヘットランドへ入港し、研究者乗船および燃料補給を実施し、12月20日に調査海域向け出港した。10日間の長い回航を終えた12月31日の大晦日、インド洋における第1回目の潜航調査を無事に終了し、この年を終えた。

2001年の運航チーム

2001年の運航チーム

5月18日~6月11日 伊豆・小笠原・南海トラフ・駿河湾調査(第606~620潜航)

この航海では、伊豆・小笠原海域の海形海山、大町海山およびベヨネーズ海丘を合わせ6回、南海トラフでは潮岬南東方海域で7回、駿河湾で2回の潜航調査を実施した。海形海山では海山北西斜面でマンガンクラストの観察と試料採取を実施し、大町海山ではその成因を調査さするため火山岩や変成岩を含む多くの岩石試料を採取した。この潜航調査では、石榴結晶を伴う変成岩なども採取された。南海トラフ潮岬東方海域では、南海トラフ付加プリズム成長過程と物質循環の解明のため急な斜面を登りながら岩石試料や採泥、SHAFプローブ温度計測を実施した。冷湧水系生物も多数確認され生物採取や海底設置型時系列採水器による採水も実施した。
駿河湾の石花海南東沖で調査では、他の調査船で実施された採水で大きなメタン異常が確認されたため「しんかい6500」の潜航でメタン異常の原因を調査する目的だったが、泥が堆積した海底は非常に視界が悪く、覗窓の目の前にあるマニピュレータも見えなくなることもあった。視界が悪いこともありメタン異常の原因となる特異な場所は、見付けることはできなかった。

潮岬南東方海域で観察されたオオイトヒキイワシ 第617潜航 2001年6月6日

潮岬南東方海域で観察されたオオイトヒキイワシ
第617潜航 2001年6月6日

6月25日~7月24日 日本海溝、千島海山、日本海調査(第621~635潜航)

この航海では、日本海溝の亀裂マネキンバレーで微生物採取を目的に1回、千島海溝の最南端部で地形地質調査を2回、その後日本海側に移動して日本海東縁海域における地震発生域の調査のため12回の潜航調査を実施した。
日本海溝の亀裂では、前年に設置した堆積物の堆積速度を測るためのメジャーの経過観察や無菌採泥器による微生物採取などを実施した。千島海溝南端部では、垂直に近い崖を登りながら海底観察および岩石試料採取を行った。小規模ながらシロウリガイコロニーやバクテリアマットなども観察された。
日本海東縁海域では、北海道西方の海洋海山から後志海山、南後志と南下しながら調査を進め、南は秋田県西方の佐渡海嶺北部海域まで12回の潜航調査を実施した。ほとんどの潜航で冷湧水によると推測されるバクテリアマットや広範囲な変色域が確認された他、松前海台や西津軽海盆では地震によるものと推測される海底に走る亀裂を発見した。この航海は、終始安定した天候が続き計画通りの15回の潜航調査が実施できた。JAMSTECへ帰港途中、7月21日大洗港に入港して一般公開を実施した。JAMSTEC入港後の7月30日より「しんかい6500」初の夏の中間検査工事が開始された。

日本海後志トラフで確認された海底一面のバクテリアマット

日本海後志トラフで確認された海底一面の
バクテリアマット

松前海台で観察された地震によるものと推測される海底亀裂 第633潜航 2001年7月14日

松前海台で観察された地震によるものと推測される
海底亀裂
第633潜航 2001年7月14日

12月7日~12月31日 インド洋回航~インド洋調査開始(第643潜航)

12月7日「よこすか」はインド洋調査海域向けJAMSTECを出港した。回航途中の12月18日に研究者乗船のためポートヘットランドに入港した。ポートヘットランドは、大型の鉱石船が入港する港でしかも干満差の激しいため「よこすか」クラスの船舶では、干潮の時間帯には岸壁と船橋が並んでしまうほど低くなった。
また鉱石を多く含んだ大地は、鉄分のためか町全体が赤褐色しており「赤い町」という印象が残った。12月20日ポートヘットランドを出港した「よこすか」は、10日をかけて調査海域に向かった。この回航は、船が走っていることも忘れさせるほど揺れの少ない快適な回航であった。12月30日に南西インド洋海嶺に到着し、翌12月31日大晦日にインド洋における第1回目の潜航調査を実施し、2000年を無事に終えた。


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ポートヘットランドの港風景

ポートヘットランドの港風景

ポートヘットランド着岸中の「よこすか」

ポートヘットランド着岸中の「よこすか」

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