25年の軌跡

2003年(第729~800潜航)

2003年3月13日
第733潜航、毛利衛氏、南西諸島にて潜航調査
2003年7月
与那国海丘熱水域での調査潜航を実施
2003年11月8日
パレスベラ海盆で通算800回潜航達成
2003年~2004年
水中テレビカメラを軽量のものに交換
2003年~2004年
主蓄電池セルをリチウムイオン電池に交換

4年に1度の定期検査工事を終え、4回の試験潜航後3月中に11回の訓練潜航を実施した。この訓練潜航航海中にはスペースシャトルに搭乗実績のある宇宙飛行士の毛利衛さんも乗船し水深6,500mまで潜航。宇宙から深海までという高低差を達成している。
4月からの約1ヶ月間には南海トラフで調査潜航を実施。天候が安定しない春先であることから海況不良に悩ませられながらも13潜航を行った。この間潜航中に潜水船の前後バランス調整用の水銀が漏洩する故障が発生したが、陸上スタッフおよびメーカーである三菱重工業神戸造船所の支援もあり、応急修理を実施し調査予定を完了する事が出来た。
7月には台湾付近の与那国海丘熱水域での調査潜航を実施。この海域から噴出する熱水にはガスの溶存率が高く、海底の泥の中にも多くのガスが溶け込んでいた。太陽光が届き間もなく海面へ浮上するころ潜水船の窓から辺りを見渡すと、沢山の気泡に囲まれていた。
まるでグラスに注いだ炭酸水の中を浮き上がっているかのような光景だ。サンプリングした泥や着底脚内に入り込んでしまった泥などから、水圧の低下と海面付近の温度上昇で溶存ガスが気泡化したと考えられる。ここでの調査終了後一気に北上し、北海道周辺の忍路海山および後志トラフでの地形・地質調査を行った。この海域は海流の関係により水深100m程で周辺水温は約1℃まで低下する、海底では0.1~0.2℃となっていた。つい先日まで南国にいた身にはこの環境の変化は大きい。口にはしなかったが、パイロット達は各々が体調管理に配慮していた事は言うまでもない。調査終了後には横浜新港へ入港した。ここで一般公開が開催され約2,700名の方が見学に訪れた。
8月から11月にかけては、グアム島周辺のマリアナ海溝海域で熱水活動域に関連した調査潜航を実施した。

2003年の運航チーム

2003年の運航チーム

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「しんかい6500」に乗船する毛利衛さん 第733潜航 2003年3月13日

「しんかい6500」に乗船する毛利衛さん
第733潜航 2003年3月13日

与那国海丘熱水域にて採取した泥の中から吹き出すガスの気泡 第762潜航 2003年7月10日

与那国海丘熱水域にて採取した泥の中から吹き出す
ガスの気泡
第762潜航 2003年7月10日

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