25年の軌跡

2004年(第801~859潜航)

2004年7月~9月
南東太平洋大航海「NIRAI KANAI」を実施
2004年7月14日
第828潜航、東太平洋海膨にて世界最大の海底溶岩流を発見
2004年~2005年
スチルカメラをデジタルカメラに交換
2004年~2005年
ジャイロコンパスを機械式のコンパスから光ファイバー式のコンパスに交換

この年「しんかい6500」には建造以来となる大きな改善が、前年末より実施された中間検査工事で行われた。それは「しんかい6500」の心臓部とも言える主蓄電池の換装だ。
電池槽は流用したために外観の変化は見て取れなかったが、内部は従来の酸化銀亜鉛電池からリチウムイオン電池へと入れ替わり約100kgの軽量化を達成している。電池槽の蓋を開けると中にはコンパクトに纏められたメンテナンスフリーの単電池が整然と並んでいる。改善処置としては理想といえる「小型」・「軽量」・「ハイパワー」を地で行く主蓄電池となった。またメンテナンスフリーとなった事から以降の年間整備予定から「電池整備」の項目が消えることになる。
4月より国内の南西諸島海溝や伊豆小笠原海溝等で16回の調査潜航を行った後、MODE’98以来となる大航海を実施した。一般より募集し「NIRAI KANAI」と名付けられたこの航海は、その名の通り遥か遠い東の海である南東太平洋をターゲットとした航海で、寄港先をタヒチ・西サモア・ニュージーランド・フィジーと転戦しながら調査潜航を行った。なかでも東太平洋海膨海域での調査では、世界最大規模の溶岩流を発見と大きな成果を得ている。またこの航海には海外からの乗船研究者も多く参加している。アメリカからはNOAAの他にも本土やハワイの大学から、フランスからはIFREMER、ニュージーランドからもGNSからの研究者が乗船した。6月より始まったこの航海では合計27潜航を実施、さらにフレンチポリネシア海域に設置されていた地震計の回収を目的とした航海が追加されたため、全6台の回収潜航を急遽実施した。この地震計は自己浮上型であったが切離装置のトラブルのために未回収となっていた。もちろんこれらのトラブルも回収した機材より原因が究明され、改善改造を経て現在へと継承されている。

2004年の運航チーム(5月16日、先島群島での調査を終えて)

2004年の運航チーム(5月16日、先島群島での調査を終えて)

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熱水によりカメラが焙られてアクリル窓が変質 第818潜航 2004年5月11日

熱水によりカメラが焙られてアクリル窓が変質
第818潜航 2004年5月11日

東太平洋海膨にて世界最大の海底溶岩流を発見 第828潜航 2004年7月14日

東太平洋海膨にて世界最大の海底溶岩流を発見
第828潜航 2004年7月14日

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