25年の軌跡

2006年(第918~993潜航)

2005年12月19日~2006年3月23日
インド洋調査
硫化鉄のウロコを持つ巻き貝「スケーリーフット」を採取
2006年4月12日~5月8日
南海トラフ調査
2006年5月27日~6月25日
三陸沖日本海溝、後志トラフ調査
2006年7月11日~7月26日
沖縄伊平屋調査
2006年7月31日~8月10日
沖縄鳩間海丘調査
2006年8月3日
第967潜航、沖縄トラフ深海底において新たな熱水噴出現象「ブルースモーカー」を発見
俳優の緒形拳氏が乗船
2006年8月14日~11月17日
パラオ、マリアナ、北フィージー、ケルマディック調査

前年12月中旬に日本を発った「よこすか」はクリスマスも正月もひたすら走り続け、1月上旬にモーリシャスに到着、ここで研究者と運航チームが合流、約2ヶ月のインド洋潜航調査を開始した。前半戦は主にインド洋中央海嶺南部における地質調査と地球物理探査を目的とした潜航を実施した。これらの潜航は比較的広い調査対象エリアをひたすら航走しながら適宜岩石などのサンプリングを行う潜航で、「よこすか」に装備されたマルチビーム音響測深装置による夜間の広域地形調査とあわせて、広範囲の調査を行った。後半戦はこれまでに見つかっている2か所の熱水噴出域、「Kairei Field」と「Edmond Field」に潜航場所を絞り、熱水や生物のサンプリング、現場培養装置の設置などの地球生物学的調査を行った。潜水船が入れるギリギリの広さしかない熱水噴出域で1日中細かな作業を行うのは神経を集中させっぱなしとなり、潜航が終わって気が抜けると一気に疲れが襲ってくるような負荷の大きい潜航であるが、またそのやり甲斐も大きく達成感もひとしおである。
その後日本に戻り、4月からは南海トラフ、三陸沖日本海溝、日本海後志トラフと日本近海の潜航調査を実施した。
7月中旬の「海の日」の連休には那覇港で一般公開を行った。那覇にはほぼ毎年寄港しているが一般公開は初めての開催であり、大勢の方々に訪船見学していただいた。その後伊平屋海域での潜航調査を行い月末に再度那覇港に戻り、今度は研究者ではなくNHKの撮影スタッフと俳優の緒形拳さんを乗せて鳩間海丘に向かった。これはNHKの番組「プラネットアース」の撮影のための潜航で、俳優「しんかい6500」を海中で撮影するため、無人探査機「ハイパードルフィン」をカメラマンとして同時に潜航させるというスケールの大きなプロジェクトとなった。撮影潜航は全3回、1回目はNHKのスタッフを乗せて台本とおりにリハーサルを兼ねた確認、2回目は緒形拳さんが乗船して本番の潜航、3回目は潜水船の航走シーンなどを撮影するための潜航で、トラブルもなく天候にも恵まれ、全ての作業を予定通りに終了することができた。「ハイパードルフィン」の母船「なつしま」から直接水中通話機で「しんかい6500」を呼び掛ける際の「『しんかい』こちら『なつしま』…」というフレーズに、思わず「しんかい2000」の現役時代を思い出した関係者も多かった。
この年の後半はパラオ、マリアナ、北フィジー、フレンチポリネシアと南太平洋の海を巡る約3ヶ月の調査航海を実施した。各々の海域が離れていることもあって調査海域間の回航日数が多い航海となった。また、各海域とも海況の悪い日が多く、陸地のない大洋の真っただ中では海が一度荒れてしまうとなかなか回復しないため、苦労を強いられる航海でもあった。そんな中、1991年の初来訪から実に15年ぶりに北フィジー海盆の「ホワイトレディー」を再訪、またこの航海で「しんかい6500」初となるケルマディック背弧海盆での潜航調査を実施した。

2006年の運航チーム(6月19日、日本海溝での調査を終えて)

2006年の運航チーム(6月19日、日本海溝での調査を終えて)

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硫化鉄のウロコを持つ巻き貝「スケーリーフット」 第933潜航 2006年2月16日

硫化鉄のウロコを持つ巻き貝「スケーリーフット」
第933潜航 2006年2月16日

「プラネットアース」の撮影風景

「プラネットアース」の撮影風景

「プラネットアース」の撮影風景 窓の向こうに見えるのは「まつしま」

「プラネットアース」の撮影風景
窓の向こうに見えるのは「なつしま」

「プラネットアース」の撮影風景

「プラネットアース」の撮影風景

「ハイパードルフィン」が撮影した「しんかい6500」

「ハイパードルフィン」が撮影した「しんかい6500」

15年ぶりに北フィジー海盆の「ホワイトレディー」を再訪 第985潜航 2006年10月2日

15年ぶりに北フィジー海盆の
「ホワイトレディー」を再訪
第985潜航 2006年10月2日
[1991年の映像はこちら]

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