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「しんかい6500」世界一周航海「QUELLE2013」ブラジル沖 YK13-04
レポート

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ブラジル沖海域での調査終了

2013/05/18 - 24

第1348回潜航 潜水船上で波に洗われるスイマー
第1348回潜航 吊揚げ索の取付作業
第1348回潜航 潜水船の吊揚げ、全員が緊張する瞬間
カリブ海への回航に備えて重量物はしっかり固定する
「よこすか」船尾で着岸作業をする乗組員
【航海情報】
5月18日
海況不良のため潜航中止、整備日
夜間、漂泊
5月19日
「しんかい6500」潜航調査(第1346回)
夜間、MBES広域地形調査
5月20日
「しんかい6500」潜航調査(第1347回)
夜間、海域移動
5月21日
「しんかい6500」潜航調査(第1348回)
夜間、事前調査及びMBES広域地形調査
5月22日
海況不良のため潜航中止
サントス港向け回航開始
5月23日
サントス港向け回航
船長主催の打ち上げパーティ
5月24日
サントス港、入港

『海況の急変』
「しんかい6500」の潜航調査中、予想より速く天候が変化し海況が悪くなることが年に何回かあります。
今回、5月21日の第1348回潜航がそうでした。海域の南側にあった低気圧の移動速度が速まり、12時半頃から気圧が低下、風速も増加しだし波も大きくなってきました。この時の潜水船の水深は3,056m、浮上に要する時間は約70分。時間の経過ともに波は大きくなっているので、潜水船を安全に揚収するには早急な対応が必要となりました。13時48分に司令から「離底予定時刻を14:00として作業を行え」と指示が出されました。この指示を受けた潜水船パイロットは、研究者と予定されている調査で離底時間までに実施可能な内容を相談し作業を行います。また、浮上開始後は海面での船体動揺に備えて移動物の固定、研究者へ注意を促します。母船側では、潜水船の揚収の準備を開始します。特に荒天時のスイマー作業は、普段よりも危険なので慎重に作業を行ないます。

『サントス港へ入港』
5月24日に「よこすか」はサントス港に入港しました。この港は古くはコーヒーの輸出港として、現在はブラジル最大の貿易港として栄えています。港の景色は生憎の雨模様で遠くまでは見えませんでしたが、岸壁を埋め尽くすような感じでコンテナ船、貨物船が着岸しています。その間の客船ターミナル岸壁に着岸しました。
この港では日伯共同調査のブラジル側関係者、日系団体への特別公開を行います。
その後「よこすか」はサントス港を出港、次の寄港地であるサンファン港(プエルトリコ)に向かいます。
次回のチームレポートはサンファン港からの再開となります。

    5月19日 No.1346DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海台
  • 観察者:長野 由梨子(JAMSTEC)
  • 船長:植木 博文
  • 船長補佐:大西 琢磨
    5月20日 No.1347DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海台
  • 観察者:Angelo Bernardino (Federal University of Espirito Santo)
  • 船長:佐々木 義高
  • 船長補佐:石川 暁久
    5月21日 No.1348DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海台
  • 観察者:張 勁(富山大学)
  • 船長:飯嶋 一樹
  • 船長補佐:片桐 昌弥

サンパウロ海台での調査

2013/05/12 - 17

潜航前の吊り揚げ索の点検
ペイロードの最終点検
吊り揚げ索の取付と潜水船のハッチの最終点検
浮上後、潜水船と母船を繋ぐためのロープを持って飛び込むスイマー
水平線上に見える掘削船「CAROLINA」
【航海情報】
5月12日
「しんかい6500」潜航調査(第1340回)
夜間、MBES広域地形調査
5月13日
「しんかい6500」潜航調査(第1341回)
夜間、MBES広域地形調査
5月14日
「しんかい6500」潜航調査(第1342回)
夜間、海域移動
5月15日
事前調査
「しんかい6500」潜航調査(第1343回)
夜間、事前調査及びMBES広域地形調査
5月16日
「しんかい6500」潜航調査(第1344回)
夜間、事前調査及びMBES広域地形調査
5月17日
「しんかい6500」潜航調査(第1345回)
夜間、MBES広域地形調査

『化学合成生物群集の捜索』
サンパウロ海台の調査はまず、化学合成生物群集を捜索し生息場所を確認することから始まりますが、調査海域は東西200km、南北440km、この広大な海域を調査期間内に全て調べる事は出来ないので、ブラジル側の事前調査により海域の南側4ヶ所、北側2ヶ所の合計6ヶ所の候補点を調査します。まず、南側の候補点、4ヶ所の事前調査を行い詳細な海底地形図を作成し、生物群集がある可能性の高い場所から潜航調査を開始しました。研究者との打合せでは最初に偵察潜航として海底の観察を重視した調査を行い、調査対象となる生物群集を発見したら、その場所で生物の観察、試料の採取などの潜航を実施、もし、目標が発見されない場合には次の候補点に移動し同様の手順で調査することといたしました。
偵察潜航は海底の目視観察が主体ですから、研究者とパイロットは覗窓に貼りつき、化学合成生物群集の手懸りを海底に探します。このため通常の潜航では移動距離が2km程度ですが今回は停止して行う作業が殆どないため移動距離は毎回、6km前後となっています。

『石油掘削船』
サンパウロ海台は海底油田域であり、調査海域の西側には操業中の海底油田があります。調査海域北側の潜航海域付近でも海底油田の調査を実施しているようで、掘削船「CAROLINA」が2隻の警戒船を従えて掘削作業を行っています。
この掘削船「CAROLINA」は全長238m、全幅42m、総トン数67,890ton。2011年に韓国の造船所で建造されました。

    5月12日 No.1340DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海台
  • 観察者:藤倉 克則(JAMSTEC)
  • 船長:千葉 和宏
  • 船長補佐:石川 暁久
    5月13日 No.1341DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海台
  • 観察者:Vivian Helena Pellizari (University of Sao Paulo)
  • 船長:植木 博文
  • 船長補佐:鈴木 啓吾
    5月14日 No.1342DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海台
  • 観察者:吉田 尊雄(JAMSTEC)
  • 船長:佐々木 義高
  • 船長補佐:大西 琢磨
    5月15日 No.1343DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海台
  • 観察者:Antonio Fernando Menes Freire (PETROBRAS)
  • 船長:飯嶋 一樹
  • 船長補佐:田山 雄大
    5月16日 No.1344DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海台
  • 観察者:山中 寿朗(岡山大学)
  • 船長:松本 恵太
  • 船長補佐:池田 瞳
    5月17日 No.1345DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海台
  • 観察者:Cristina Rossi Nakayama (Federal University of Sao Paulo)
  • 船長:千葉 和宏
  • 船長補佐:片桐 昌弥

リオデジャネイロでの活動

2013/05/06 - 11

特別公開の風景
潜水船の説明を行う若手パイロット達
日本人学校生徒との昼食会
ブラジルテレビ局、朝のニュース番組生中継場面
次の航海のための研究機材の搭載
航海中に発生したゴミは分別して陸揚げします
【航海情報】
5月6日
プレス公開、VIP特別公開
「しんかい6500」日伯共同海洋調査記念式典
式典関係者特別公開
5月7日
ブラジル側関係者特別公開
ゴミ陸揚げ、飲料水補給
5月8日
リオデジャネイロ日本人学校生徒船内授業
日系人団体、在リオデジャネイロ日本人会、日本国総領事館関係者特別公開
5月9日
燃料補給、食糧品搭載
5月10日
リオデジャネイロ出港
サンパウロ海台向け回航
研究者と調査行動の打合せ
5月11日
事前調査
ブリーフィング、潜航打合せ

『リオデジャネイロ特別公開』
5月6日から5月8日までの3日間、着岸中の「よこすか」では報道関係者、日伯共同海洋調査関係者や在伯日本人関係者への特別公開が行われました。
特別公開ではブラジル沖海域で有人潜水船による潜航調査が初めて実施された事や、「アトランティス大陸発見か?」の報道により注目度も高く、大勢の方々に訪船いただきました。なかでも、日本人学校生徒を対象に行われた船内授業では、潜水船の若手パイロットや研究者の実験を交えた説明では熱心に耳を傾け、様々な質問をしていました。その後の昼食会では本船側から子供向けにアレンジされたカレーライスの提供があり、大喜びの子供達は同席した研究者、船長、司令と楽しい一時を過ごし、満面の笑顔で下船していきました。

『リオデジャネイロを出港』
5月10日にリオデジャネイロ港を出港。「よこすか」は、グアナバラ湾から南大西洋に出て次の調査海域であるサンパウロ海台に向けて回航を開始しました。
調査海域へは翌日の5月11日10:00頃に到着。初めに潜航を予定している場所の事前調査を行い、詳細な海底地形図を作成します。また、今回は回航時間が少ないため平行して研究者と調査行動の打合せや潜水船に乗船される予定の研究者へブリーフィング、ペイロードの取り付けなどの潜航準備も行います。
サンパウロ海台は海底油田域でブラジル側の調査では岩塩ドーム、化学合成生物群集の存在の可能性が示唆されており、それらの情報と事前調査で得られた海底地形情報を元に潜航場所を検討、確定し5月12日から潜航調査を開始します。

海域移動、リオグランデ海膨で潜航調査

2013/04/30 - 05/05

揚収作業
「YKDT」調査のため、格納庫から人力で運びだします
入港前日の打ち上げパーティー
コパカバーナ海岸とコルコバードの丘に建つ白亜のキリスト像
入港準備作業をする乗組員
平理事長にもお出迎えいただきました
【航海情報】
4月30日
「しんかい6500」潜航調査(第1338回)
夜間、漂泊
5月1日
潜航中止、YKDT曳航調査(第157回)
夜間、潜航地点事前調査
5月2日
「しんかい6500」潜航調査(第1339回)
潜水船揚収後、リオデジャネイロ向け回航開始
5月3日
リオデジャネイロ向け回航
船内時計を1時間後進し日本時間-12時間とした
5月4日
リオデジャネイロ向け回航
船長主催の打ち上げパーティー
5月5日
リオデジャネイロ入港 Pier Maua着岸

『リオグランデ海膨の海底』
リオグランデ海膨は大きさが南北方向約800km、東西方向約1,100km、高低差5,000mの巨大な海台ですが、今回はその西側部分の山頂付近にあるCoral Garden、Graniteで「しんかい6500」による潜航調査。Pockmarkでは「YKDT」による曳航調査を行いました。 潜水船では水深が1,000m前後と比較的浅い場所にある斜面の麓で、採水、採泥を行った後に斜面を登り生物、地形の観察を行いながら山頂まで航走しました。この海域も前回のサンパウロ海嶺と同じく海水の透明度が高かったので、遠くまで良く見え観察を行うには絶好の状況でした。しかし、潜航地点が山頂付近であるため斜面の麓ではほとんど無かった潮流が斜面を登るにつれ段々と強くなり、その方向も斜面に平行に流れたり、斜面に沿って上や下に流れたりと複雑に変化するので、研究者の要望通りの操船を行うには厳しい状況もありました。
今回の調査で得られた試料には陸地でしか組成されないものが含まれており、研究者チームは大変興奮しておりました。

『リオデジャネイロに入港』
5月5日にリオデジャネイロ港に入港しました。この港は世界3大美港の一つに数えられており港があるグアナバラ湾入り口では、観光地として有名なコパカバーナ海岸、湾内に入るとコルコバードの丘に建つ巨大なキリスト像を展望することが出来ます。着岸する岸壁では平理事長を筆頭に関係者のお出迎えがありました。この港では「よこすか」「しんかい6500」の日伯共同海洋調査記念式典や関係者への特別公開および次の航海に備えて研究者の交代、燃料や飲料水、食糧の補給を行います。

    4月30日 No.1338DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域リオグランデ海膨 Coral Garden
  • 観察者:Jose Angel Alvarez Perez (Universidade do Vale do Itajai)
  • 船長:松本 恵太
  • 船長補佐:佐々木 義高
    5月2日 No.1339DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域リオグランデ海膨 Granite
  • 観察者:北里 洋(JAMSTEC)
  • 船長:千葉 和宏
  • 船長補佐:佐々木 義高

サンパウロ海嶺での潜航調査

2013/04/24 - 29

潜航前の吊り揚げ索の取り外し
潜航中の総合指令室
揚収時に「しんかい6500」にロープが絡まないよう調整する乗組員
朝のペイロード準備作業は太陽が出ていないので外は真っ暗(6時頃)
4月28日の日出、日没時間
【航海情報】
4月24日
「しんかい6500」潜航調査(第1334回)
夜間、MBES広域地形調査
4月25日
「しんかい6500」潜航調査(第1335回)
夜間、MBES広域地形調査
4月26日
「しんかい6500」潜航調査(第1336回)
夜間、MBES広域地形調査
4月27日
「しんかい6500」潜航調査(第1337回)
夜間、MBES広域地形調査
4月28日
潜航中止、YKDT曳航調査(第156回)
夜間、リオグランデ海膨向け回航開始
4月29日
リオグランデ海膨向け回航

『サンパウロ海嶺の海底の様子』
サンパウロ海嶺では、4月23日から27日までに5回の潜航調査を行いました。
いずれの潜航も水深4,200mから水深2,500mまでの斜面で、海底を観察しながら試料採取が行われました。この調査海域は、水深4,100mで水温が0.6℃である事は、前回のレポートでもお伝えしましたが、その他にもここは海水の透明度が高く、潜水船の窓から見える距離(視程といいます)も日本近海では、5mから8m程度が普通なのですが、こちらは毎回の着底報告で、10mから12mの視程が報告されています。また、泥や砂が堆積している場所では、リップルマークと呼ばれる規則的な縞模様がありました。視程が良い海底では観察も行いやすく、各潜航でいろいろな生物や岩石など試料の採取、映像の撮影を行いましたが、詳細については研究者の発表をお待ちください。

『船内時間について』
航海中の船内で使用する時間ですが、基本的に太陽が南中する時間を正午(12時)となるように調整します。現在の「よこすか」がいる位置では、ほぼ日本の裏側になるため日本時間から-11時間引いた時間が船内時間となり、日本とは昼夜が逆転しています。
また南半球なので季節も反対になり、こちらはこれから冬に向かう事になるので日照時間が毎日少しずつ短くなっています。現在の日の出は7時頃、日没は夕方6時頃です。
潜水船のオペレーションは日中しか行えないので、昼間の時間があまり短くなると潜航時間に影響が出ます。過去にも冬場の調査では浮上時間を早めて潜航調査を実施したこともあります。

    4月24日 No.1334DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海嶺
  • 観察者:藤原 義弘(JAMSTEC)
  • 船長:植木 博文
  • 船長補佐:池田 瞳
    4月25日 No.1335DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海嶺
  • 観察者:Adolpho Herbert Augustine (Pontificia Universidade Catolica do Rio Grande do Sul)
  • 船長:千葉 和宏
  • 船長補佐:佐々木 義高
    4月26日 No.1336DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海嶺
  • 観察者:荒 功一(日本大学)
  • 船長:松本 恵太
  • 船長補佐:田山 雄大
    4月27日 No.1337DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海嶺
  • 観察者:Eugenio Pires Frazao (Servico Geologico do Brasil)
  • 船長:飯嶋 一樹
  • 船長補佐:石川 暁久

ブラジル沖調査海域に到着、潜航調査が開始されました

2013/04/17 - 23

船内セミナーの様子
ブリーフィングの様子1
ブリーフィングの様子2
サンプル処理をしようとサンプルバスケットに集まった研究者とチーム
【航海情報】
4月17日
調査海域向け回航
09:00 研究者による船内セミナー開催
13:00 潜航研究者へのブリーフィング
4月18日
調査海域向け回航
4月19日
調査海域向け回航
4月20日
調査海域向け回航
4月21日
14:00 調査海域到着(リオグランデ海膨)
MBES地形調査およびSBP調査を実施
サンパウロ海嶺向け発航
4月22日
調査海域向け回航(サンパウロ海嶺)
4月23日
調査海域到着、XBT計測、MBES事前調査、
「しんかい6500」潜航調査(第1333回)
夜間MBES広域地形調査

『潜航ブリーフィング』
4月17日、研究者による船内セミナーが開催され、北里首席研究者やブラジル側の研究責任者のジョセ・エンゼルさんから、調査航海の目的や期待される研究成果などについてお話して頂きました。その話はとても興味深く、母船乗組員や運航チームの意気も高まります。
午後からは、運航チームによる研究者への潜航ブリーフィングが行われました。「しんかい6500」の耐圧殻内に入り、水中TVカメラや水中デジタルカメラの操作方法や、潜航時の注意事項について説明を受けます。また緊急時の応急呼吸具装着方法や、水中通話機・無線機・バラスト離脱スイッチ操作など、研究者にも万が一に備え必要最低限の機器操作を覚えてもらいます。
その後、潜水船の重量・浮量計算に必要な体重測定が待っており、女性だろうと容赦なくキッチリ体重計測です。最後に潜航当日に着る潜航服のサイズを確認し、ブリーフィングは終了します。このブリーフィングが終了する頃には、研究者も「もうすぐ自分が潜航するんだ」という実感が湧いていることでしょう。

『サンパウロ海嶺にて調査潜航実施』
4月23日、ブラジル沖海域調査における第1回目の潜航調査を実施しました。当初計画では、リオグランデ海膨から潜航調査を開始する計画でしたが、この海域はしばらく海況不良が続く予報となったため、後半で調査を計画していたサンパウロ海嶺から調査を開始しました。
サンパウロ海嶺は、ブラジル リオデジャネイロの南方330マイルほどに位置し、水深4,200mから水深2,500mまで急激に立ち上った斜面が東西に長く延びた地形です。
深さ4,100mの海底に着底後、まず驚いたのは海水温度が0.6℃と低いことでした。私たちの経験上、このくらいの水深では1.7℃程度あるのが普通です。船内セミナーで北里先生が話された「調査海域付近の深海底は、南極からの潮流の影響を受けている」ということを聞いていなければ、CTDの温度センサーが壊れたと勘違いしていたことでしょう。
この潜航では海底観察の他、採泥試料・採水試料・岩石試料・生物試料など多くの試料採取が行われました。「しんかい6500」が揚収されると同時に、一刻も早くサンプル処理をしようと研究者とチームが一斉にサンプルバスケット周辺に集まります。

    4月23日 No.1333DIVE
  • 潜航海域:ブラジル沖海域サンパウロ海嶺
  • 観察者:Poauro Yukio Gomes Sumida(サンパウロ大学)
  • 船長:飯嶋 一樹
  • 船長補佐:片桐 昌弥

いよいよブラジル沖海域の航海が開始

2013/04/10 - 16

特別公開の様子1
特別公開の様子2
テーブルマウンテン
潜航準備作業
搭載ペイロード打合せ
【航海情報】
4月10日
14:00 ケープタウン入港、特別公開準備、清水積込み
4月11日
09:30 地元高校生・大学生への特別公開
13:00 プレス公開
14:30 招待者への特別公開
15:30 潜水船格納庫内でのレセプション開催
4月12日
午前中 日本人会への特別公開・出港準備、研究者乗船
4月13日
09:30 ケープタウン出港、調査海域向け発航、金毘羅祈願
4月14日
調査海域向け回航、研究者との調査行動打合せ
4月15日
調査海域向け回航
4月16日
調査海域向け回航

『プレス公開・特別公開』
4月10日、南アフリカのケープタウンに入港しました。4月11日には、広報活動の一環としてケープタウンの地元高校生や大学生への一般公開や、地元メディアや招待客への特別公開と慌ただしい一日となりました。
4月12日は地元日本人会の特別公開を開催、見学に訪れた人達は始めて目にする有人潜水船に興味深々、説明に立っている母船乗組員や運航チームの説明に真剣に耳を傾けていました。

『ケープタウン出港』
4月13日、ケープタウンの名所テーブルマウンテンを背に調査海域に向け出港しました。テーブルマウンテンは、山頂がテーブルの様に平らになっている特徴を持っており、海抜1087メートルもの岩盤でできた急こう配の山です。その岩肌は荒々しく、潜水船で調査している海底の急崖を想像させるような山でした。
これから調査するリオグランデ海膨は、その高低差が5千メートルにもおよぶ海台で、テーブルマウンテンを遥かに超えるスケールの斜面も存在するとのことで、正直「早く潜りた~い!」と興奮が隠せません。
現在「よこすか」は、そのリオグランデ海膨に向け回航中です。潜水船も潜航調査に向け研究者との搭載ペイロードの打合せや、その準備も着々と進んでいます。今のところ調査海域着予定は4月21日を予定しています。