「しんかい6500」訓練潜航 YK15-18 Leg2、「うらしま」試験潜航 YK15-18 Leg3 レポート
訓練潜航の開始
2015/11/26 - 12/3
【航海情報】
『訓練潜航、開始』
11月26日に「よこすか」は清水港を出港して訓練海域に向かいました。今回の訓練潜航は、駿河湾、相模湾、伊豆・小笠原海溝で各1潜航、合計3潜航おこないました。
訓練潜航では実践に即した内容で潜航をおこないながら、中間検査工事で鈍ったパイロット達の操船感覚や勘を取り戻し、母船乗組員はオペレーション作業の慣熟訓練を目的としています。また、「しんかい6500」の潜航調査は通常、パイロット、コパイロット、研究者の3名が乗船していますが、今回は潜航中にパイロット1名、研究者2名で乗船して潜航調査をする場合の、シミュレーションもおこないました。
11月27日の駿河湾、11月28日の相模湾での訓練潜航は、懸濁物(プランクトンや生物の死骸などで、マリンスノーとも呼ばれます)が多い海域での潜航となりました。マリンスノーが多いと、大雪の中を自動車で走るときのように、マリンスノーに投光器の明かりが遮られたり、反射したりして視界が5m程度と悪くなり、海底の起伏や目標物が確認しづらくなります。調査海域では視界が10m前後なので、それと比べるとかなりの悪条件です。パイロット達は操船の基本を思い出しながら、覗き窓やソーナーによる周囲の監視、慎重な操船、丁寧で正確なマニピュレータ操作などの訓練課題をこなして、操船感覚や勘を取り戻したようです。
11月29日の最後の訓練潜航は、場所を青ヶ島の南西にある明神海丘に移しておこなわれました。この場所は、実際に潜航調査がおこなわれている熱水噴出域があり、海底の地形も起伏に富んでいます。しかし、「しんかい6500」での潜航は初めてです。そこで深海巡航探査機「うらしま」の調査で得られた詳細な海底地形図をもとに、実際の潜航調査と同じように潜航ルート、捜索目標を設定して熱水噴出孔など特異点の捜索訓練をおこないました。この潜航では、目標とする特異点の確認、試料の採取などの訓練目的を予定時間内に全て達成することができ、調査潜航レベルでも潜航が問題なくおこなえることを確認しました。
『「しんかい6500」と「うらしま」の同時搭載』
この航海ではJAMSTECを出港するときに、「よこすか」の格納庫に「しんかい6500」、「うらしま」を搭載しました。従来、この2隻は「よこすか」の格納庫の構造上、同時に搭載することができませんでした。
しかし、2隻を同時に搭載できれば、基地港である横須賀から遠い海域などで、わざわざ基地港に戻らず、「うらしま」の調査で得られたデータを船上で解析して、その情報をもとに同じ海域で時間を空けず「しんかい6500」で調査することが可能となります。これまで複数回の調査航海で得られた結果を一航海で得ることも可能かもしれません。このため研究者からの2隻同時搭載の要望と運用効率の観点から、今年の「よこすか」中間検査工事で格納庫を2隻が同時に搭載できるように改造しました。
今回の訓練潜航では2隻を同時搭載して実際に入れ替え作業や、それぞれのオペレーションをおこなって、作業が問題なく安全にできることを確認しました。
早速、次航海のインド洋航海では2隻を同時搭載しての調査が1月上旬から3月上旬までおこなわれます。この航海は「うらしま」と「しんかい6500」の調査海域が別々なので、連携した調査はおこなわない予定ですが、ひょっとしたら2隻が連携して調査したことを、ご報告できるかもしれません。
- 11月26日
- 清水港、出港
- 11月27日
- XBT計測、事前調査、「しんかい6500」試験潜航(第1444回)
夜間、海域移動 - 11月28日
- 「しんかい6500」試験潜航(第1445回)
夜間、海域移動 - 11月29日
- XBT計測、事前調査、「しんかい6500」試験潜航(第1446回)
揚収完了後、清水港向け回航 - 11月30日
- 清水港、入港
「しんかい6500」、「うらしま」入替え作業 - 12月1日
- 清水港、出港
「うらしま」試験潜航(第232回)
夜間、漂泊 - 12月2日
- 「うらしま」試験潜航(第233回)
揚収完了後、東京湾向け回航 - 12月3日
- 横浜港、入港
『訓練潜航、開始』
11月26日に「よこすか」は清水港を出港して訓練海域に向かいました。今回の訓練潜航は、駿河湾、相模湾、伊豆・小笠原海溝で各1潜航、合計3潜航おこないました。
訓練潜航では実践に即した内容で潜航をおこないながら、中間検査工事で鈍ったパイロット達の操船感覚や勘を取り戻し、母船乗組員はオペレーション作業の慣熟訓練を目的としています。また、「しんかい6500」の潜航調査は通常、パイロット、コパイロット、研究者の3名が乗船していますが、今回は潜航中にパイロット1名、研究者2名で乗船して潜航調査をする場合の、シミュレーションもおこないました。
11月27日の駿河湾、11月28日の相模湾での訓練潜航は、懸濁物(プランクトンや生物の死骸などで、マリンスノーとも呼ばれます)が多い海域での潜航となりました。マリンスノーが多いと、大雪の中を自動車で走るときのように、マリンスノーに投光器の明かりが遮られたり、反射したりして視界が5m程度と悪くなり、海底の起伏や目標物が確認しづらくなります。調査海域では視界が10m前後なので、それと比べるとかなりの悪条件です。パイロット達は操船の基本を思い出しながら、覗き窓やソーナーによる周囲の監視、慎重な操船、丁寧で正確なマニピュレータ操作などの訓練課題をこなして、操船感覚や勘を取り戻したようです。
11月29日の最後の訓練潜航は、場所を青ヶ島の南西にある明神海丘に移しておこなわれました。この場所は、実際に潜航調査がおこなわれている熱水噴出域があり、海底の地形も起伏に富んでいます。しかし、「しんかい6500」での潜航は初めてです。そこで深海巡航探査機「うらしま」の調査で得られた詳細な海底地形図をもとに、実際の潜航調査と同じように潜航ルート、捜索目標を設定して熱水噴出孔など特異点の捜索訓練をおこないました。この潜航では、目標とする特異点の確認、試料の採取などの訓練目的を予定時間内に全て達成することができ、調査潜航レベルでも潜航が問題なくおこなえることを確認しました。
『「しんかい6500」と「うらしま」の同時搭載』
この航海ではJAMSTECを出港するときに、「よこすか」の格納庫に「しんかい6500」、「うらしま」を搭載しました。従来、この2隻は「よこすか」の格納庫の構造上、同時に搭載することができませんでした。
しかし、2隻を同時に搭載できれば、基地港である横須賀から遠い海域などで、わざわざ基地港に戻らず、「うらしま」の調査で得られたデータを船上で解析して、その情報をもとに同じ海域で時間を空けず「しんかい6500」で調査することが可能となります。これまで複数回の調査航海で得られた結果を一航海で得ることも可能かもしれません。このため研究者からの2隻同時搭載の要望と運用効率の観点から、今年の「よこすか」中間検査工事で格納庫を2隻が同時に搭載できるように改造しました。
今回の訓練潜航では2隻を同時搭載して実際に入れ替え作業や、それぞれのオペレーションをおこなって、作業が問題なく安全にできることを確認しました。
早速、次航海のインド洋航海では2隻を同時搭載しての調査が1月上旬から3月上旬までおこなわれます。この航海は「うらしま」と「しんかい6500」の調査海域が別々なので、連携した調査はおこなわない予定ですが、ひょっとしたら2隻が連携して調査したことを、ご報告できるかもしれません。
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11月27日 No.1444DIVE
- 潜航海域:駿河湾 戸田海底谷
- 観察者:西郷 亮(日本海洋事業株式会社)
- 船長:齋藤 文誉
- 船長補佐:鈴木 啓吾
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11月28日 No.1445DIVE
- 潜航海域:相模湾 初島南東沖
- 観察者:杉浦 秀哉(日本海洋事業株式会社)
- 船長:大西 琢磨
- 船長補佐:千葉 和弘
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11月29日 No.1446DIVE
- 潜航海域:伊豆・小笠原海溝 明神海丘
- 観察者:中谷 武志(JAMSTEC)
- 船長:松本 恵太
- 船長補佐:石川 暁久
佐々木 義高(運航チーム副司令)