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「しんかい6500」調査潜航 YK18-10航海 レポート

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YK18-10調査潜航

2018/7/20 - 7/22

『YK18-10航海レポート』
無事浮上した「しんかい6500」
写真1:無事浮上した「しんかい6500」
青ヶ島東方沖での潜航を終えて浮上した「しんかい6500」、母船「よこすか」の300mほど先に見える白い物が浮上した「しんかい6500」。浮上後、母船は潜水船に徐々に近づき、スイマーが主索(曳航索)を取り付けに向かう。
青ヶ島沖での揚収作業
写真2:青ヶ島沖での揚収作業
西日の眩しい中での揚収作業。スイマーが主索(曳航索)を潜水船に取り付けた直後の様子。「しんかい6500」の揚収作業は、なぜか西日の逆光となることが多い。写真後ろに見えるのが伊豆諸島の青ヶ島。

本航海は、文部科学省の記者クラブを対象として、「よこすか」乗船取材および取材代表者は、海洋調査の意義やJAMSTECの役割について国民に広く伝えることを目的に「しんかい6500」での潜航を実施しました。

7月20日午後にJAMSTEC広報部および記者クラブ関係者10名乗船後、JAMSTECを出港し、潜航海域の青ヶ島周辺海域に向けました。

翌日潜航日の青ヶ島周辺の気象予報は、風速は5~10m/secとやや強めの風が吹く予報で、かつ沖縄南方に発生した台風10号からのウネリの影響が、徐々に大きくなることが予想され、潜航予備日の無い本航海では、潜航実施に不安を抱えての出港となりました。

JAMSTEC出港後には、記者クラブの方々全員を対象に船内安全レクチャーや潜航ブリーフィング、「よこすか」船内及び機関室の見学、「しんかい6500」耐圧殻内見学など、海洋調査の現場を知って頂けるよう見学会を開催しました。記者クラブの方々から多くの質問を頂き、大きな関心を持って乗船取材されていることが伺え、翌日の潜航の実施に向け、「よこすか」船長と「しんかい6500」司令には、大きなプレッシャーがかかる夜となりました。

翌朝21日は気象予報の通り、台風10号からの波長の長いウネリがあり、潮流(黒潮)も3ノット近い状況でしたが、幸いなことに風力の予報は良い方向に外れ、風速2m/sec前後のとても弱い風となり、船長と司令は、ホッと胸をなで下ろし、海況に悩むことなく潜航作業が開始されました。

青ヶ島東方の熱水噴出域は、過去に実施した相模湾や駿河湾での取材潜航に比べ、圧倒的に海底での視界が良い上、アクティブに熱水を噴出する巨大チムニーや海底で見られる生物も数多く、取材潜航には申し分のない潜航海域でした。

代表で潜航されたフジテレビの方は勿論のこと、「よこすか」船上で水中画像伝送を見ている記者の方々からも熱水チムニーや深海生物が映るたびに歓声があがるなど、とても興味をそそる海域だったと推測します。

本航海は、潜航海域の海況を心配しながらの出港となりましたが、幸い海況も悪化することなく万事順調な作業が実施できました。帰港後、今回乗船された各メディアからJAMSTECの役割や調査活動について新聞やテレビ、雑誌などを通し、広く一般の方々に配信されることを期待しています。

【潜航情報】
    7月21日 No.1524DIVE
  • 潜航海域:青ヶ島東方沖
  • 観察者:熱田 信(株式会社フジテレビジョン)
  • 船長:大西 琢磨
  • 船長補佐:飯島 さつき
【航海情報】
7月20日
JAMSTEC広報部及び記者クラブ関係者10名乗船
JAMSTEC出港、潜航海域向け発航(青ヶ島周辺海域)
船内安全レクチャー、潜航者ブリーフィング、船内見学会、潜航準備
7月21日
潜航海域着、XBT計測、MBES事前調査
調査潜航(第1524回)、潜水船揚収後、JAMSTEC向け発航
7月22日
JAMSTEC入港、潜水船陸揚げ
JAMSTEC関係者及び記者クラブ関係者10名下船

櫻井 利明(運航チーム司令)