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超先鋭研究プログラム

成果

[2008年-2009年]

生命の最高増殖温度の更新と同位体的に異常に重いメタン生成の発見

宇宙における生命の存在条件を知る上で欠かせない地球における生命の存在可能条件(Limits of Life& Biosphere)を更新する超好熱メタン菌をインド洋かいれいフィールドから分離することに成功した。JAMSTECシュガープログラムとプレカンブリアンエコシステムラボが共同で高温高圧培養法(高井法)を開発し、122°Cでの増殖を確認した。また深海底と同じ条件でのメタン生成では、「微生物の作るメタンは軽いのだ。文句あっか。」というこれまでの地球化学の常識を覆す「本当は微生物もおもーいメタンをつくるんだよ」という革新的な成果を得た。本成果は地球におけるメタンの起源や火星におけるメタンの起源を探る上で重要な手がかりを与えるものである

Takai, K., Nakamura, K., Toki, T., Tsunogai, U., Miyazaki, M., Miyazaki, J., Hirayama, H., Nakagawa, S., Nunoura, T., & Horikoshi, K. (2008) Cell proliferation at 122°C and isotopically heavy CH4 production by a hyperthermophilic methanogen under high-pressure cultivation. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 105:10949-10954.


今回分離されたMethanopyrus kandleri 116株の電子顕微鏡写真

過去50年にわたる生命の最高生育温度記録更新の歴史(左)と、有機地球化学の教科書に載っている自然環境中のメタンの安定炭素同位体比による分類表(右)。従来121°Cで、この世すべての生き物は抹殺できると考えられてきたが、本菌はその人間の思い上がりを打ち砕いた(左)。また「微生物の作るメタンは同位体的に軽いに決まっている」と格言のように唱えられてきた考えも再考を迫られることとなっちまった(右)。

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