エルニーニョ現象とは

通常の太平洋の赤道域は、東太平洋では赤道湧昇により海面水温が低く、西太平洋では暖水プールという暖かい水で覆われているため海面水温が高い状態です。このため、暖かい海の上空では上昇気流が発生し、それに伴って冷たい海の上空では下降気流となり、その結果赤道上では東風が発生します。

この状態から何らかのきっかけにより、中央太平洋もしくは東太平洋で海面水温が高くなる場合があります。それをエルニーニョ現象と呼びます。この時、大気の流れも逆になり、西太平洋から東太平洋に西風が吹くことになります。こうなると西太平洋では通常は雨が多いインドネシアやパプアニューギニアで雨が少なくなり、時に森林火災が発生することもあります。それとは逆に東太平洋に接するペルーでは、雨が多くなります。

このエルニーニョ現象という大規模な変動は赤道域に留まらず、日本を含む中緯度の国々にも影響を及ぼします。日本ではエルニーニョ現象の発生に伴い、夏は冷夏、冬は暖冬になり易いと言われています。

ここでは、太平洋のブイのリアルタイムの観測データから見られる典型的なパターンを簡単に紹介します。

上の図は太平洋のブイ網で得られた1997年12月のエルニーニョ現象発生時の海面水温と海上風(上図)と海面水温偏差と海上風偏差(下図)の分布です。これらの図にみられるようにエルニーニョ現象発達時には、太平洋の赤道付近の海面水温は高温で占められ、通常卓越する東風貿易風がはっきりみられなくなります。偏差場でみると東太平洋での正の水温偏差が卓越することになります。

エルニーニョ現象の指標

太平洋は数年毎に変動していますが、それを海面水温を元にした「指標」で表す事ができます。この指標は海面水温を平均化する海域(注目したい特徴によって異なる)によって複数存在しますが、一般的なENSOの定義にはNino3.4海域と呼ばれる海域(西経170度から120度まで、北緯5度から南緯5度まで)の海面水温を平均して長期時間平均を引いた偏差の時系列を指標として用います。簡便には、この指標が0.5度を超えた状態が続く場合をエルニーニョ現象と呼び、-0.5を下回った状態が続く場合をラニーニャ現象と呼びます。

このエルニーニョの指標(Nino3.4インデックス)の時系列を見ると、1997年から1998年にかけて大規模なエルニーニョ現象が発生しており、その後、1999年から2001年までラニーニャ現象に転じているといった、太平洋赤道域での激しい変動を見て取ることができます。