CLIVAR-SSG16の概要

時岡 達志  
(CLIVAR小委員会委員長、海洋研究開発機構)

2009年5月19日から22日の間、マドリッドの王立植物園で第16回のCLIVAR SSGが開催されました。SSG16の大体の雰囲気と主要な点を報告しておきます。更に詳しい内容を知りたい方は、次のサイト(http://www.clivar.org/organization/ssg/ssg16/SSG16-presentations.php)に資料が掲載されておりますのでご覧ください。今回のSSGには私の他に、IOPの共同議長として升本順夫さんも参加されました。

1.人事関係
  永らく共同議長を務めていたTim Palmer(ECMWF)が今回をもって退き、その後任にM. Visbeck (IFM-GEOMAR)が就任し、J.Hurrel(NCAR)と共にCLIVARの舵取りを行うこととなった。また、永らくICPOの所長として貢献してきたH.Cattleは来年の3月をもって退職することが報告された。

2.CLIVARサイエンス会議
 2004年に第1回CLIVARサイエンス会議をボルティモア(米国)で開催したが、CLIVARが5年後に終わりになることを考え、第2回のCLIVARサイエンス会議を開催することが前回の会合以来議論されてきたが、今回、Pan-WCRPサイエンス会議(5日間)として行うという案と、Pan-WCRPサイエンス会議(3日間)に引き続いてCLIVARサイエンス会議(2日間?)を行う、という新たな2案が浮上してきた。どちらかの形で行われることとなろう。

3.残り5年間を見通したCLIVAR主要課題の議論
 CLIVAR終了後のことを考えながら、CLIVARとして残りの期間の主要課題の明確化を行った。議論の末7項目にまとめた(末尾に掲載の添付参考資料)。1.(ACC)、2.(DecCen)、3.(GOALS)についてはCLIVAR設立当初から取り上げてきた大きな課題であり、夫々の大課題の中で黒丸で示した項目をしっかり行うこととした。そのほかに地球システムモデルに組み込まれる大気・海洋モデルとしてそれぞれの高度化、特に海洋を中心としたデータ解析・同化、海洋観測システム、人材養成が含まれている。

4.その他
  CLIVAR傘下のWG及びパネルの報告を受けた。大きな問題は無かったが、重要なパネルであるGSOPの活性化と、VACS(Variability of the African Monsoon System)へのてこ入れについてSSGメンバーで議論した。VACSに関して日本からの協力が打診され、ポジティブに検討したいと返答した。インド洋ダイポール変動に伴うアフリカの気候変動研究調査に関し、国内で今年度から新プロジェクトが開始しているし、新たな可能性として、衛星データや再解析データに加えてNICAM出力も活用し、アフリカ域におけるWeather-Climateを見通した解析研究の実施も考えられる。後者に関しては今後国内の関係者、及びVACSの共同議長、SSGの共同議長と、可能性について話し合っていく予定である。
 前回のSSG15では、WCRPからの予算の大幅な削減問題に多くの時間を割かねばならなかったが、WCRPの議長が交替し、新議長にGhassem Asrar(エジプト)が着任し、やっと落ち着きを取り戻したという印象を得た。


添付参考資料

    <CLIVAR’s 7 imperatives>
  • Anthropogenic Climate Change (ACC)
    Natural versus forced variability
    Regional phenomena
    Extremes Complete CMIP5
  • Decadal Variability, Predictability and Prediction (DecCen)
    Determine predictability
    Mechanisms of variability
    Role of oceans
    Adequacy of observing system
    Initialization
    Drought
    Building pan-WCRP links
    Complete CMIP5
  • Intraseasonal and Seasonal Predictability and Prediction (GOALS)
    Monsoons
    ISV/MJO
    Building pan-WCRP and WWRP links
    Complete CHFP
  • Improved atmosphere and ocean component models of ESMs
    Analysis and Evaluation
    “Climate Process Teams” (process studies)
    Building links pan-WCRP, IGBP
    Complete CORE
  • Data Synthesis, Analysis, Reanalysis and Uncertainty
    Ocean
    Coupled Data Assimilation Systems
  • Global Ocean Observing System
    Development and System Design
    Building IGBP links for Carbon, Biogeochemistry, Ecosystems
  • Capacity Building