WCRP-JSC報告

2009年9月11日
中島 映至  
JSC委員・東京大学気候システム研究センター

1.WCRP-JSC30

  • 第30期WCRP-Joint Scientifice Committee (JSC)会合が2009年の4月6日から9日、メリーランド大学ESSICセンターにて開かれ、WCRPの全プログラムをレビュー、運営について議論を行った。JSCの主査はESSICセンター長のAntonio J. Busalachchi。
  • 委員リストを添付する。中島は2009年度からJSCのメンバーを前任の安成哲三前委員から受け継いだ。WCRPの活動についてはウェブを参照のこと。現在WCRP評価書、2008年から2009年の活動報告書、2010年から2015年の実行計画書が公開されている。
    • Review of WCRP, Feb. 2009
    • WCRP Report: WCRP 2008-2009 Achievements, July 2009
    • WCRP Implementation Plan 2010-2015, Sept. 2009

  • WCRP の成果として、IPCCにおけるイニシアチブ、CMIP3のデータ配布、IPCC AR4におけるCliCなどの古気候グループのイニシアチブ、WMO/UNEP オゾン評価書の発行などが挙げられた。
  • 大きなイベントとしてWCC-3(World Climate Conference-3)の開催について議論した。WCRPはその計画に主要な役割を果たしている。この会合の目的である社会ニーズへの対応、特に気候サービス、応用への対応の重要性が指摘された。同時に、他の分野も伸びているので学際的な研究活動が重要である。
  • ICSU-WMO-IOC-IGFAレビューパネルによるWCRPのレビュー(副題「Coordinated Observation and Prediction of the Earth System (COPES)」の総括とその対応について議論した。レビューは、社会が気候変動に対する軽減と適応に関する対策に必要な研究を要求している点を協調。また、コアプロジェクト型から高次の目標の視点からはっきりとしたdeliverablesであるような構造への転換を求めている。その意味で、「物理的」と言うことばを基礎に据えるかでも議論になった。IGBP、ESSPとの連携の推進、シームレス予報の推進、地球システムモデリングの推進などが確認された。
  • これを受けてWCRPの中期計画「WCRP Implementation Plan 2010-2015」の検討が行われ、 (1) WCRPの機能、(2) 社会が必要とする重要な科学的なテーマ、(3) 2013年以降のWCRPの適切な構造とは等について議論をした。将来計画は、2013年までの中期計画と2013以降の計画に分けられる。国際プロジェクトオフィス(IPO)の役割の重要性が指摘された。中期計画としては、今の体制のもとでIPOをより活性化させる、他分野との共同を進めるという戦略が確認された。2013まではコアプロジェクトの変更は無いが、その後については時間をかけて検討を行う。
  • 中期計画のレビューで指摘されていることは、今後より以上のキャパシティービルディングを図ること、IPCCのWG1とWG2の間のWCRPワークショップを2010年までに開くこと、モンスーンパネルによるCMIP5解析などの推奨、WCRPとIOCの間の合同海面上昇タスクフォースの設置、地球システムモデルの改善についてIGBPとの検討の提案などが挙げられる。
  • 2013以降のWCRPの体制については、今後も重要な科学的課題についてコアプロジェクト的なものを中心に立ち上げる案がある。IOPを中心に活動を行う戦略は変わりないが、主題(disciplinary)として、大気と陸面、大気と海洋、成層圏と対流圏と言った系間の相互作用に関わる大きな主題に取って代わられる可能性がある。このような科学的主題による横糸に対して、手法の縦糸(地球システム観測と解析、地球システムモデリング、応用/コミュニケーション)を考えたマトリックス的な構造を意識することになりそうである。また、すべてのグループが地球システムモデリングや地球システム科学の拡張の重要性を指摘している。

2.その他のイベント

  • 気候サービス応用のための会合WCC-3が8月31日から9月4まで開かれた。Global Framework for Climate Services (GFCS)への各国、各組織からの期待が表明された。
  • WCRP Implementation Plan 2010-2015が公開された
  • 2011年秋にWCRPの30周年を記念して、またAR5の準備のために、「WCRP Science Conference 2011: Science for the next assessment」を開催することになった。

Present member Term of Appointmenton the Committee Status Field of scientific expertise
Prof. A.J. Busalacchi
ESSIC, University of
Maryland, College
Park, USA (Chair)
1 Jan 2007
-31 Dec 2010
Elected Chair
2009
海洋・気候の観測・モデル (Oceans and climate observations and models)
Dr D.J. Griggs
Monash University,
Clayton, Australia (Vice-Chair)
1 Jan 2005
-31 Dec 2010
Elected Vice-Chair
2009
モデリング・解析研究を含む、気候の物理・力学 (Climate physics and dynamics, including modelling and diagnostic studies)
Dr K.A. Anaman
Institute of Economic
Affairs, Accra, Ghana
1 Jan 2007
-31 Dec 2010
  気候経済学 (Climate economics)
Prof. R. Ardakanian
United Nations
University, Bonn,
Germany
1 Jan 2007
-31 Dec 2010
  水文学及び水資源 (Hydrology and water resources)
Dr G. Flato
Environment Canada,
Victoria, Canada
1 Jan 2007
-31 Dec 2010
 結合モデリング及び雪氷科学 (Coupled modelling and cryospheric science)
Dr S. Gille
Scripps Institution of
Oceanography, San
Diego, USA
1 Jan 2009
-31 Dec 2012
Appointed
Member 2009
海洋循環 (Ocean circulation)
Dr F. Giorgi
ICTP Trieste, Italy
1 Jan 2009
-31 Dec 2012
Appointed
Member 2009
地域気候モデリング (Regional climate modelling)
Dr B.N. Goswami
Institute of
Tropical
Meteorology, Pune,
India
1 Jan 2009
-31 Dec 2012
Appointed
Member 2009
モンスーン、熱帯力学、気候モデリング(Monsoons, tropical dynamics, climate modelling)
Dr V.M. Kattsov
Voeikov Main
Geophysical Observatory, St
Petersburg, Russia
1 Jan 2009
-31 Dec 2012
Appointed
Member 2009
雪氷圏‐気候のモデリング(Cryosphere-climate modelling)
Prof. H. Le Treut
IPSL Paris, France
1 Jan 2005
-31 Dec 2010
  モデリング・解析研究を含む、気候の物理・力学 (Climate physics and dynamics, including modelling and diagnostic studies)
Prof. J. Marotzke
Max Planck Institute
for Meteorology,
Hamburg, Germany
(Officer)
1 Jan 2005
-31 Dec 2010
Elected
Officer 2009
海洋物理学 (Physical oceanography)
Dr T. Nakajima
University of Tokyo, Japan
1 Jan 2009
-31 Dec 2012
Appointed
Member 2009
雲とエアロゾル (Clouds and aerosols)
Prof. V. Ramaswamy
NOAA GFDL
Princeton NJ, USA
(Officer)
1 Jan 2003
-31 Dec 2010
Elected
Officer 2009
大気化学と気候;エアロゾル‐雲‐化学‐気候の相互作用 (Atmospheric chemistry and climate; aerosol-cloud-chemistry-climate interactions)
Dr F. Semazzi
North Carolina State
University, Raleigh
NC, USA
1 Jan 2009
-31 Dec 2012
Appointed
Member 2009
地域モデリング、アフリカ気候、応用気候 (Regional modelling, African climate, climate applications)
Prof. J. Slingo
Department of
Meteorology, Reading,
UK
1 Jan 2007
-31 Dec 2010
  気候の物理・力学 (Climate physics and dynamics)
Prof. C.S. Vera
University of Buenos
Aires, Argentina
(Officer)
1 Jan 2007
-31 Dec 2010
Elected
Officer 2009
水文学、気候の物理・力学 (Hydrology, climate physics and dynamics)
Dr I. Wainer
Universidade de Sao
Paulo, Brazil
1 Jan 2005
-31 Dec 2010
  海洋物理学 (Physical oceanography)
Prof. G. Wu
Chinese Academy of
Sciences,
Beijing, China
(Officer)
1 Jan 2005
-31 Dec 2010
Elected
Officer 2009
モンスーン気象学、大気‐地表相互作用を含む、力学的・物理的気候過程 (Monsoon meteorology; dynamical and physical climate processes, including atmosphere-surface interactions)