養殖魚計測技術の開発とは
我が国は豊富な天然資源を供給できる排他的経済水域を保有するものの、近年の気候変動や外国漁船の漁獲増大による漁場争奪等を起因とする一部水産資源の減少、漁場形成の変化を背景に、漁船漁業による生産量の不確実性が高まっています。
一方で、工業製品のように安定供給と生産履歴の確認が可能な養殖業は、漁船漁業によるタンパク源供給の不確実性を補完する役割が期待されています。しかしながら、我が国の養殖業は経験と勘に依存する部分が多く、生産性を高めていく必要があることに加え、近年、輸入に大きく依存する飼料原料(魚粉)の価格高騰等により、養殖事業者の収益悪化が懸念されています。
その解決策の一つとして給餌量の適正化が挙げられる。給餌量はバイオマス(個体数×体重)に依存するが、海面養殖ではバイオマスの正確な把握が難しく、魚を飢えさせないために必要量より多くの餌を投餌しているという実態があるからだ。養殖魚の体重推定についてはステレオカメラを用いた体長推定手法が確立しているが、簡便な個体数推定手法は確立されていません。
そこで本研究では、養殖生簀をシミュレーションで再現し、個体数を変えて仮想的に作った魚探エコー画像を教師データとした機械学習を行い、その結果に実際の魚探エコー画像をインプットすることで個体数を推定するという手法を提案しました。