JAMSTEC > 付加価値情報創生部門(VAiG) > アプリケーションラボ(APL) > APLの役割

アプリケーションラボ(APL)

APLの役割

アプリケーションラボ(APL)は十年前にバーチャルラボとして発足しましたが、大きな発展を遂げ、戦略研究開発領域の柱の一つとして、重要な役割を担ってきています。JAMSTECの中期目標達成に貢献するため、APLでは高精度なシミュレーションと予測技術を開発してきました。APLは今後も最新の研究やその革新的な社会応用において世界をリードし、JAMSTEC中期目標の達成に重要な役割を果たして行きたいと考えています。

近代の海洋・地球科学は、その発展の歴史を考えると、社会や産業界との関係を抜きにしては語れません。この意味で、海洋・地球科学は宇宙の創生を理解することや究極の素粒子を発見し、加えて人間原理の真の意味を明らかにするような純理学分野とは異なります。海洋物理学、気象学、地震学は地球物理学のもっとも古い分野ですが、それぞれ津波、台風、地震による悲惨な災害から、それを科学的に明らかにして社会に貢献することで導入されました。

海洋・地球科学は、未来に向けて、私たち地球に生きる人類とそれを取り囲む生態系の生存可能性に貢献すべき分野です。このことは、理解を深める基礎研究だけでなく、社会と相互啓発的に進める海洋学・気候学の応用研究も同時に推進する必要があることを意味しています。APLが推進している“海洋と気候の予測研究”は、社会への応用を行う上で重要であり、「世界気候研究計画(WCRP)」や「フューチャー・アース(Future Earth)計画」の下、十分な精度の予測によって豊かな未来の実現へ貢献することを、社会に期待されていると考えています。更に、3.11の東日本大震災や、台風による北日本での洪水といった近年の自然災害から、我々は社会と適切に情報を交換し、相互啓発的に進む必要があることを強く認識しました。このようなことを鑑み、APLではビッグデータ、人工知能、情報通信技術といった最先端の情報科学を活用して我々のアンサンブル気候・海洋予測が持つ有益な情報を社会に応用する高度なシステムを開発して行きたいと考えています。このような理念は第五期科学技術基本計画に沿うものであり、「Society 5.0」の実現につながるものだと考えています。

新しいAPLは、「気候変動予測情報創生グループ」、「環境変動予測情報創生グループ」の2つのグループから成ります。海洋と気候が共に社会の持続的な発展に対して大変重要な要素であるという理解の下、両グループはそれぞれ、主に、前者は気候、後者は海洋の研究とその応用を進めています。我々APLは、地球環境やそれにとどまらない広い分野における新しい発見や研究のイノベーションを展開してきた山形俊男・前所長のレガシーを守りつつ、多くの国際的な研究パートナーとともに、更なる発展を遂げて行きたいと考えています。

スワディヒン・ベヘラ アプリケーションラボ 所長
2017年4月3日
Swadhin Behera(スワディヒン・ベヘラ)
アプリケーションラボ 所長