アルゴデータ

最新のアルゴフロート分布図とアルゴフロートで得られたアルゴデータ

アルゴフロートは世界中の海で観測を続けており、「今」の海の状況を捉えた観測データは、リアルタイムで送られてきます。 では、最新のアルゴフロート分布の状況と今日までのアルゴデータの累計をみてみましょう。

最新のアルゴフロート分布図
2000年から取得を開始したアルゴデータの総数が2012年11月に100万を突破しました
(Argo Information Center情報)

アルゴフロートデータの見方と、その海域・季節毎の特徴

全世界の海は繋がっていますが、アルゴフロートで得られた観測データは、実は季節や場所によって違います。
海域によって、どのような水温・塩分構造になっているのか、四季の変化について紹介します。

太平洋亜寒帯域、中緯度域、赤道域、南大洋域の季節別のデータと比較してみてください(図)

北太平洋亜寒帯域

太陽高度が徐々に高くなり、天候が安定する5月ですが、亜寒帯域では海面から下層まで水温に変化がほとんどなく4℃~5℃と大変冷たいです。

日射が強くなるため、急激に海面水温が上昇し、8月で10℃近くに達しています。でも100mより下では相変わらず5℃以下と冷たいです。

11月になると海面水温が下がってきます。風も強まってくるため、海面から50mくらいまで水温が均一になる混合層と呼ばれる層が発達してきますが、下層の水温は相変わらず低いままです。

2月になると、さらに海面付近が冷却・混合によって混合層が深くなります。夏場温まっていた海面も冷やされ、海面から下層までほぼ水温が一様です。

北太平洋中緯度域(日本の東海上)

太陽高度が高くなり始め表層水温が徐々に上昇してきます。100~300mは殆ど水温が変化しない層ですが、モード水といい冬季の冷却・混合により均一な性質の水が作られた痕跡です。下層は水温が徐々に低下しますが、500mでも10℃以上とやや暖かいです。

日射と風の弱まりによって、急激に水温が上昇し、30℃近くに達します。中層のモード水は、上下からの混合によって幅が小さくなって来ています。下層は500mで相変わらず10℃程度です。

冷却や風による混合が強まり、上層水温の低下、均一化が始まります(混合層が深くなってきます)。中層のモード水はかなり小さくなっています。下層の水温は春?夏と殆ど変りません。

冷却が強まり、上層水温も20度を下回ります。300m程度まで均一化し、混合層が深まるとともに、モード水が形成されます。下層の水温は冬でも殆ど変化はしません。

太平洋熱帯域

熱帯域は、1年中暑くあまり四季がはっきりしていません。5月には既に表層水温が30℃近くになっています。一方、熱帯といっても深くなるにつれ急に水温は低くなり、300m以下では10℃以下です。

8月も5月と殆ど変りません。ただ表層の水温がさらに上昇し、30℃に達しています。

10月も5月、8月と殆ど変りませんが、表層100m付近まで水温が均一な混合層がやや発達しています。これは、秋に貿易風が強まって混合が盛んになる影響です。

1月も11月同様混合層がやや発達しています。熱帯域は他の海域と比べて1年間の変化は大きくありません。逆にエルニーニョなどの1年を超えた変化の方が大きい場合があります。

南極周辺

南半球では日本と季節が逆になります。春とはいえ、南極周辺は緯度が高く、11月でも下層まで一様に冷えたままです。面白いこ とに、上層200mまでは0度以下ですが、下層ではそれより暖かくなっています。普通水温が高いほど軽くなりますが、4℃以下~結氷温度(-2℃)までは 逆に水温が低いほど軽くなるためです。

上層が暖められ、表層の水温が上昇します。それでも3℃程度で300m以下の水温と殆ど変わりません。100~200mに は、冬の名残りの0℃程度の冷水が残っています。また、他の海域の夏場と異なり、上層の水温均一な層がかなり厚く、100m程度あります。これは、南極周 辺では夏でも風が強く混合されるためです。

暖められていた上層の水温が下がり始め、冷却と風による混合の効果が大きくなり、混合層と呼ばれる均一な水温の層が深くなってきました。これによって、夏場100~200mに残っていた冷たい層が食われて幅が狭まってきています。

上層はすっかり冷やされて0℃以下になり混合層の厚さは150m程度に達しています。夏から秋にかけて100~200mに 残っていた0℃程度の冷水も、上層に吸収され消えて見えなくなりました。なお、下層300m以下は、1年を通じてほぼ同じ水温(2℃)で均一に保たれてい ることがわかります。