今回はチリのバルパライソからブラジルのサントスまで乗船することになりました海洋科学技術センターのむつ研究所の原田尚美さん(レグ3の調査主任)および横須賀本部の向後 毅さん(OD推進室)、金井知明さん(普及・広報課)の3名からの乗船報告を掲載します。
「みらい」はアルゼンチンとフォークランド(マルビナス)諸島の間を抜け、次の寄港地サントスを目指して大西洋を北上。排他的経済水域(EEZ)に入らないように大陸から離れて航行する。ブリッジからは8マイル(約15km)先の水平線まで見えるが、見渡す限り海以外なにもなし。漁船や他の商船等もほとんど通らない場所での航行がしばらく続くことになる。
今日の作業は、デッキ上でピストンコアラー等の採泥器の洗浄、整備、片付け、そして実験室ではもくもくと堆積物の処理作業が進む。処理作業は毎日夜中まで続き、皆疲労困ぱい、口数もめっきり減っている。
夜、採泥の無事終了を祝って観測ブイの格納庫にてパーティを開催。最初は皆硬く、外国人と日本人に分かれて座っていたものの10分もしないうちにあちらこちらに車座ができ、交歓の花が咲く。センターとコンセプシオン大学の帽子の交換など楽しい一夜となる。
今日は、「みらい」のブリッジの様子を紹介する。
「みらい」のブリッジでの監視・操船は、航海士と操舵手が二人で行っている。これを船の用語では「ワッチ」といい、3組が4時間交代で行う。4時間働いた後は船の巡回等の仕事を兼ねた8時間の休憩をとる。「みらい」では、ワッチは午前0時から4時間おきに交代することにしているため、同じ組が午前、午後の同じ時間に行うことになる。午前0時から4時までのワッチは深夜の仕事になるので、通称「泥棒ワッチ」と呼ばれている。このワッチに入る航海士と操舵手は下手をするとほとんど人に会うことがない。一方、午後8時から0時のワッチは生活の時間帯にあっているため「殿様ワッチ」と呼ばれているが、当直の航海士に聞くとお酒が美味しく飲める時間帯での仕事なので「ゴキブリワッチ」とも言うらしい。前夜のマゼラン海峡通過はすぐ近くをほかの船舶も航行しているため監視・交信など緊張の連続であったが、通常の夜間はおもにレーダーを見ながら、周囲の船舶の航海灯・灯台を監視しながら航行する。素人目にはどの船の明かりもほとんど同じに見えるが、船長や航海士は航海灯をみればどのような船か分かるとこと。参考までに、船は右舷に緑灯、左舷に赤灯、マストは白色灯を付ける。灯台も場所によって光り方が異なっており、その情報は海図に記載されている。夜間は遠くの明かりを認識し、他の船からも認識されやすくするため、船から内部の明かりがもれないようにしている。
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1日に1回の船員新聞。ファックスで送られてくるのだが、フォークランド沖は通信状況が悪くタイトルすらもほとんど分からない。サブボトムプロファイラーのデータよりも難解 |
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