今回はチリのバルパライソからブラジルのサントスまで乗船することになりました海洋科学技術センターのむつ研究所の原田尚美さん(レグ3の調査主任)および横須賀本部の向後 毅さん(OD推進室)、金井知明さん(普及・広報課)の3名からの乗船報告を掲載します。
北上するにしたがってどんどん暖かくなってきた。半袖で仕事をしている人もいる。
実験室では最後に採取された堆積物の処理が続く。1日7mのノルマ。研究員、観測技術員以外の協力もあり、堆積物処理は残り7mとなる。
一方、後部デッキでは観測に使用した機器の倉庫への搬入とワイヤロープの油塗り作業が進む。「みらい」の後部デッキの下は倉庫になっており、デッキの床の一部がリフトとしてそのまま倉庫まで下がり、観測機器を搬入することができる。油塗りはグリースを手にとって丁寧にワイヤロープに塗っていく。グリースは赤道等の暑い地方へ行っても溶け出さないようなものを使用する。甲板員の仕事はデッキでの観測機器投入・回収、整備だけでなく、ワイヤロープの油塗り、ペンキ塗り、船内の清掃など多岐にわたり、ブリッジでの操舵も仕事の一つ。甲板員の作業は機敏でロープワーク等も使い手際よく行われていく。今回の観測では、採泥機を海中へ降ろす作業と引き上げる作業、一番危険な作業を行っていた。次の採水を行う航海では、観測作業が24時間行われるため12時間の交代で作業を行うとのこと。
ここで船用語をいくつか紹介しょう。甲板作業を取り仕切る甲板長は「ボースン」と呼ばれている。これは英語名の「Boatswain」が由来との説が有力。この他にも、操機長は「ナンバン」(Number
1 Boiler)、一等航海士は「チョッサー」(Chief officer)、通信長は「局長」(通信(無線)局の長)等の通称がある。職名の他にも、物を捨てたり(手を離したり)する時には「レッコ」と声がかかるし、冗談を言い合ったり、話をすることを「カタフリ」と呼んだりする等の船特有の言葉がある。
汚水処理室には、汚水・生活廃水それぞれを投棄する前に一時的に溜めておくタンク、内海・港湾内等で汚水・生活廃水をそのまま廃棄できない時に使用するバクテリアを利用した汚水処理装置などがある。研究室からでる廃水は別のタンクに貯め、一定のpH値にしてから投棄するとのこと。船は航海中生活する場所であるため様々なゴミがでるが、生ゴミはできる限り陸揚げして処理するようにし、その他のゴミも粉砕もしくは焼却して、陸揚げし処分している。観測中の海洋への投棄は計測データに影響がでるために、投棄は回航中に行うとのこと。なお、甲板での各種仕事を監督するチョッサーはこの汚水処理室の責任者でもある。
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1,250トンの重りのついた採泥機を海中に降ろす作業。柵もないのに身を乗り出して作業を行っている。 |
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次のレグも乗船するナミビアの研究者に採水の作業について説明する観測技術員。 |
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