Chikyu Report
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鉄に関する深イイ話2012年08月03日

皆さん、こんにちは。今回は産業技術総合研究所の堀知行がお送りします。わたしは、この航海で地下深部に生きる未知微生物の培養を担当しています。これまでの成果から下北沖の海底下にはたくさんの微生物がいることがわかっています。しかし、実はその多くがなぜ生き延びているのかわかっていません。わたしは地下に豊富に存在する「鉄」をエネルギー源にする微生物(鉄還元菌)がキープレイヤーだと考えています。そもそも「鉄」は地球上で4番目に多い元素ですが、特にここ下北沖周辺の陸域は「鉄」を多く含んでいることで有名です。例えば、八戸市にある「種差海岸」の砂は鉄を多く含んでいて黒っぽく見えるんです。古くから良質な砂鉄の産地として歴史があることも納得できます(例えば、南部鉄の刀とか釣り鐘とか)。

今回の航海では、地下深くまで掘り進めると、2000メートルくらいに石炭層を含む陸の地層がでてくると予想されています。そこに鉄が大量に含まれているかも・・・?果たして地下深くで育む「微生物」と「鉄」の関係はいかに?そんな素朴な疑問に、わたしは鉄鉱物を用いる新しい微生物培養法で挑んでいこうと思っています(「スゴい面白い菌が出て来たら、ノーベル賞?」なんてムフムフしながら)。

さて、今日はそれぞれの研究グループに分かれて実験準備に励むとともに、「ちきゅう」の噴出防止装置(BOP)、ライザーパイプ、エンジン等の大規模な掘削設備を見学する「リグツアー」が催されました。「ちきゅう」に初乗船の研究者が多く、みんな興味津々に楽しく見学できました。写真は、ドリラーズハウスというドリルを制御する特別な部屋です。椅子に座ってご満悦なのが将来のノーベルショウをたくらむワタシ。他の研究者たちもみんな記念撮影会しました。一生の思い出ですね。船上スタッフやドリラーの方、本当にありがとうございます。この航海が多くの方々に支えられていることに感謝して、良い科学的成果が得られるように一生懸命がんばります。

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