ゴエモンコシオリエビの産卵が確認されました!
(4/3追記)
LEDライトで照らした光飼育下でゴエモンコシオリエビの産卵が確認されました。(コシで抱えている黄色いものが卵です)
これまで卵をもったゴエモンコシオリエビを捕獲することはありましたが、人工飼育中にゴエモンコシオリエビが卵を産んだのは初めてのことです。このため、ゴエモンコシオリエビの簡便な飼育と繁殖の方法の開発につながる結果として期待しています。
(3/27追記)
ご視聴ありがとうございます。ゴエモンコシオリエビたちはすこぶる元気ではありますが、生中継は2014年4月6日をもちまして終了いたします!ふたたび横須賀本部の施設一般公開でお会いできる、かも?
2014年春まで、JAMSTEC飼育水槽から生中継でお届けします!食事風景が見られるかも?!(元気がなくなったら終了します)
- 採集海域:
- 沖縄本島から西方180kmの深海熱水噴出孔(沖縄トラフ伊平屋北熱水活動域)
- 採集水深:
- 約1000m
- 体長:
- 約1〜6cm
- 採取日時:
- 2014年1月12日 無人探査機「ハイパードルフィン」、海洋調査船「かいよう」
- 展示協力:
- 和辻 智郎 研究員(海洋・極限環境生物圏領域 深海・地殻内生物圏研究プログラム)
ゴエモンコシオリエビとは?〜深海・地殻内生命圏研究〜
ゴエモンコシオリエビ(学名:Shinkaia crosnieri)は、沖縄トラフの熱水噴出域でしか発見されておらず、日本を代表する深海熱水域の動物です。エビでもカニでもなくコシオリエビ(ヤドカリの仲間)に分類されます。ゴエモンコシオリエビのお腹には密集した毛が生えていて、その毛でたくさんのバクテリアを飼っています。
このバクテリアは地球内部から吹き出す熱水に含まれる硫化水素とメタンから栄養を作ります。そして、ゴエモンコシオリエビは体毛で育てたバクテリアを手のような器官でこそいで食べて生きています。光のない深海で生息しており、目は退化しています。釜ゆでの刑にあった大盗賊の石川五右衛門が和名の由来です。
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2014年1月8日の朝。私たち研究グループは研究船「かいよう」に乗り込み横浜港を出航。横浜ベイブリッジをくぐり、黒潮を逆走しながら、3日間をかけて沖縄の海に到着しました。しかし、北からの季節風が強く、波が落ち着くのまで島影に待機せざるを得ませんでした。最初の潜航は1月12日まで待つことになりました。翌日からは、また海が荒れる予報のため、この日が最初で最後の潜航チャンスかもしれないと聞かされ、緊張しました。マシーントラブルや海況の急変がないことを祈る中、無人探査機「ハイパードルフィン」による潜航が開始されました。探査機の遠隔操作を確認するモニターを通して、ゴエモンコシオリエビを捕獲できたのが分かると、ホッとしましたが、航海に出られるのは一年に一度のことであり、これからの実験に失敗することはできません。ゴエモンコシオリエビを迎えるため、研究船で、すぐに実験準備に取り掛かりました。
予備実験もしたし、何度も実験のイメトレをしたから大丈夫だと自分に言い聞かせながら、夕刻に無人探査機「ハイパードルフィン」が船上に引き上げられ、ゴエモンコシオリエビを手に入れました。実験は順調にすべり出すことができましたが、船上での実験は大変です。船は横に揺れ、上下します。立っているだけで疲れるのです。そのような中で、実験を朝の5時まで続けました。その後、なんだかんだと潜航の機会に恵まれ、海水風呂で体を癒しながら、予定していた盛りだくさんの実験をこなすことができました。
航海の期間中、捕獲した船上のゴエモンコシオリエビは、毎日三度の水換えを行って飼育しました。1月31日に那覇で下船し、ゴエモンコシオリエビとともに帰路へ。車で横浜ベイブリッジを渡るとき、そういえば、行くときは研究船で橋の下を通過したことを思い出し、帰ってきたな、と実感しました。今回は、この航海で捕獲したゴエモンコシオリエビをご覧いただいています。
(展示協力:海洋・極限環境生物圏領域 深海・地殻内生物圏研究プログラム 和辻 智郎 研究員)