海洋科学技術センターにおける研究評価のための実施要領

1.評価の必要性及び重要性
 研究開発の評価は、それによって研究開発活動の適切さを判断し、その結果を十二分に生かして、研究開発活動の効率化・活性化を図り、より優れた成果を上げていくために必要である。即ち、評価は、優れているものはさらに伸ばし、より良い研究開発を目指すとともに、問題点があればこれを指摘し、所要の改善を図ることを目的として行われる重要な活動である。こうした評価は、本来研究開発活動と一体不可分のものとして、これを適切、かつ厳正に実施することが必要である。
 こうした認識のもとに、海洋科学技術センター(以下「センター」という)の役職員 は、評価に自発的に協力するとともに、評価の結果を積極的に研究開発や機関の運営 に生かしていくことが肝要である。

2.本実施要領策定の目的
 本実施要領の策定は、センターの実施する研究開発課題及び運営全般について、「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」(平成9年8月7日内閣総理大臣決定。以下単に「指針」という。)に沿った厳正な評価を実施するため、具体的な評価の実施方法を定めることを目的とする。

3.研究開発課題の評価
(1)評価の対象
 原則として、センターで行われるすべての研究開発課題を評価の対象とするとともに、当該研究開発課題の実施に係る施設設備の開発及び運用についても対象に含める。
 また、センターの研究開発については、指針における研究開発課題の分類に従い、重点的資金によるもの、基盤的資金によるもの等の区別を明確にした上で、それぞれについて、指針の記述に沿って、以下の通り評価を実施するものとする。

(2)重点的資金による研究開発課題の評価
1)評価の目的
 重点的資金による研究開発課題の評価については、指針の記述を踏まえ、原則として事前及び事後の評価を行うとともに、5年以上の研究開発期間を有するもの等については中間的な評価を行う。これらの事前・中間・事後のそれぞれの評価は、例えば以下に掲げるような目的を参照しつつ、これを実施する。なお、研究開発が終了したあと、一定の時を経てから副次的効果を含め顕著な成果が確認されることがあり得るので、研究開発終了後においても適時に追跡評価を行うことを考慮する。

・事前評価の目的
 研究開発の方向性・目的・目標等の決定、着手すべき課題の決定、研究資金・人材等の研究開発資源の配分の決定、期待される成果・波及効果の予測、研究開発計画・研究開発手法の妥当性の判断など。
・中間評価の目的
 研究開発の進捗状況の把握、研究開発の目的・目標等の見直し、研究開発の進め方の見直し(継続・変更・中止等の決定)、研究資金・人材等の研究開発資源の再配分の決定など。
・事後評価の目的
 研究開発の達成度、成功・不成功の原因の把握・分析、研究計画の妥当性のレビュー、研究開発成果の波及効果の把握・普及、新たな課題への反映の検討など。

2)評価の実施時期
 事前・中間・事後等のそれぞれの評価の実施時期は、原則として、以下によるものとする。

・事前評価
 新たに実施すべき開発課題を選定し、概算要求を提出する場合は、原則としてあらかじめ事前評価を実施する。
・中間評価
 中間評価を行うべき研究開発課題については、研究開発の進捗状況等を十分に勘案し、最も適切だと判断される時期に、評価を実施する。
・事後評価
 事後評価については、該当する研究開発が終了する年度の翌年度のできるだけ早い時期に評価を実施する。
・追跡評価
 研究開発終了後、数年毎に実施することを検討する。

3)外部評価の実施
 重点的資金による研究開発課題の評価は、研究課題評価委員会により、これを行うものとし、理事長はその設置及び運営に関し必要な事項を別に定める。
 研究課題評価委員会は、原則として評価対象となる研究開発課題が含まれる研究開発分野及びそれに関連する分野に精通しているなど、十分な評価能力を有する専門家(必要に応じ、海外の卓越した研究者を含む。)及び必要に応じて、評価対象となる研究開発課題とは異なる研究開発分野の専門家その他の有識者(以下「外部有識者」という。)を、加えるものとする。

4)評価方法の設定
 評価項目、評価基準、評価手法等の具体的な評価方法については、評価対象となる研究開発課題の性格・目的や、評価目的等を勘案し、研究課題評価委員会が、センターの事務局の補佐を得て、これを定める。

5)大規模なプロジェクト等の評価
 大規模なプロジェクトや、社会的関心が高いと理事長が判断する研究開発課題の評価については、そのための特別の評価委員会を設置して、評価者に外部有識者を加えるものとする。また、これらの評価に当たっては、例えば評価結果を決定する前に、その案を一般に公開し、意見を求めるなどにより、国民各般の意見を評価に反映させるものとする。
 また、このような研究開発課題の評価がセンターの外部での組織で実施される場合は、理事長はこれに協力するものとする。

(3)特に大規模かつ重要なプロジェクトの評価
 指針に言う「国を挙げて実施するメガサイエンス等の大規模かつ重要なプロジェクト」として、センターから独立した組織(センターの外部の組織)が評価を行う研究開発課題については、理事長は、当該組織が行う評価に対して、積極的に協力するものとする。

(4)基盤的資金による研究開発課題の評価
 基盤的資金による研究開発課題を評価するため、理事長は、資金の性格に応じた適切な評価を行なう。

(5)他の機関との共同研究として実施される研究開発課題の評価
 他の機関との共同研究として実施される研究開発課題については、理事長は、指針の記述を踏まえ、当該機関と連携・協力し、効果的・効率的な評価を行うものとする。

4.機関の評価
(1)評価の対象
 センターの機関評価については、その運営全般を対象として実施する。

(2)評価の実施時期
 センターの機関評価は、原則として5年毎に定期的に実施する。ただし、理事長が必要と認める場合は、繰り上げて実施する。

(3)機関評価委員会(仮称)の設置
 機関評価は、原則としてセンターの外部から選任される十分な評価能力を有し、かつ、公正な立場で評価を実施できる評価者からなる機関評価委員会(仮称)において行うものとし、理事長は、同委員会の設置及び運営について必要な事項を別に定める。

(4)評価目的及び評価方法の設定
 機関評価委員会は、評価を行うに当たり、センターの事務局の補佐を得て、センターが置かれた諸状況・諸課題等を適切に勘案し、運営全般の中でもより重視すべき評価目的・評価視点を明確化し、併せて関連する評価項目・評価基準・評価手法等の具体的な評価手法を明確に定め、機関評価の実効性が上がるよう努める。
 理事長は、そのような委員会活動が円滑に進むよう、最大限の協力・支援を行う。

(5)評価への国民意見の反映
 機関評価委員会は、例えば評価結果を決定する前にその案を一般に公開し、意見を求める、センターを開放した際に活動状況についてアンケートをとる、などの方法により、できる限り国民各般の意見を評価に反映させるものとし、理事長はこれに協力する。

5.評価結果の取扱い
(1)評価結果の適切な活用
 理事長は、評価結果を活用し、研究開発の見直しや適正化等に反映するとともに、機関の運営改善等にも最善の努力を行うものとする。また、理事長は、評価の結果がセンターの諸活動に適切に活用されているかどうかについて、毎年フォローアップを行い、その結果を各評価者(評価委員会については各委員)に報告する。

(2)評価結果等の公開等
 理事長は、インターネットなどを利用し、評価の結果を、評価のために提出された諸資料の情報を含め、指針の記述に沿ってできる限り国民に分かりやすい形でまとめた報告書を公開する。
 なおその際、評価に携わった評価委員の氏名や、具体的な評価基準・評価過程等の評価方法についても、併せて公開するものとする。

6.評価の実施体制の整備等
 理事長は、評価が円滑に実施されるよう、センターにおける評価の実施体制の整備・充実に努めるとともに、一方で評価に伴う研究者等への作業負担が過重なものとなり、却って研究開発活動に支障が生ずるようなことにならないよう、十分な注意を払うものとする。

7.中長期の研究開発計画の策定
 センターの研究開発が、中長期の研究開発計画に沿って適切に実施されているか否かは、評価に当たっての重要な視点となるものであり、この点をも踏まえ、センターにおいては、将来を見通し、必要に応じ、このような中長期の研究開発計画を適宜策定するものとする。

8.事前の自己点検の実施等
 理事長は、あらかじめセンターの研究開発活動について十分な自己点検を行い、適切な関係資料を整理しておき、それらが実際の評価において有効に活用されるよう配慮するものとする。特に、機関評価は、評価対象が広範に及び、必要な作業も多岐にわたるため、理事長は、事前に評価計画を作成するなどにより、計画的・能率的な評価の実施に努める。

9.その他
 その他この実施要領に関し必要となる事項については、理事長がこれを定める。