JAMSTEC
平成11年 1月 8日
科 学 技 術 庁
宇 宙 開 発 事 業 団
海洋科学技術センター


松野太郎氏(地球フロンティア研究システム長)が「ロスビー研究メダル」を受賞


  1. 宇宙開発事業団(理事長 内田勇夫)及び海洋科学技術センター(理事長 平野拓也 )の共同プロジェクトである「地球フロンティア研究システム」(平成9年10月発足)の 松野太郎システム長に、”地球流体における波と流れの相互作用の理論への基本的貢献” に対して、アメリカ気象学会より1999年「ロスビー研究メダル」が授与されます。来る1 月13日にアメリカのダラスで開催されるアメリカ気象学会第79回総会にて松野システム長 に対する授与式が行われます。

  2. 「ロスビー研究メダル」とは、アメリカ気象学会が、大気の構造や現象の解明におい て目覚ましい貢献を遂げた大気科学者に贈る最高の賞で、1951年から毎年1名に授与され ています。これまでに日本人では荒川昭夫さん(1977年、現カリフォルニア大学名誉教授 )、都田菊郎さん(1991年、現ジョージメイソン大学教授)、真鍋淑郎さん(1992年、現 地球フロンティア研究システム地球温暖化予測研究領域長)の3名の方が受賞されており、 松野システム長は4人目の受賞者となります。



    本件連絡先:地球フロンティア研究システム合同推進事務局
          〒105-6791 東京都港区芝浦1丁目2番1号 シーバンスN館7階
          TEL  03-5765-7100(代表)
          FAX 03-5765-7103
          ホームページ http://www.frontier.esto.or.jp

          科学技術庁      海洋地球課  TEL 03-3580-6561
          宇宙開発事業団    広報室    TEL 03-3438-6107〜9
          海洋科学技術センター 普及・広報課 TEL 0468-67-5502

[参考情報][松野太郎氏履歴]






<参考情報>
  1. 地球温暖化、異常気象等の地球変動現象は、自然の生態系や人類の将来に深刻な影 響を与える重要な問題であり、自然と調和した豊かな社会を築くためにはこの地球変動現 象の解明と予測を行うことが重要である。このような背景の下、科学技術庁の航空・電子 等技術審議会地球科学技術部会報告「地球変動予測の実現に向けて」(平成8年7月)に おいて地球変動の解明と予測を実現するために、研究、観測、シミュレーションの3つの 機能が一体となった研究開発の必要性が提言された。

  2. 地球フロンティア研究システムは「地球変動予測の実現に向けて」において提言さ れた研究を具体的に推進するための仕組みとして、流動研究員方式を積極的に活用した体 制を整備したものであり、地球を1つのシステムとして捉えその変動と予測に関する研究 を実施している。平成9年10月に発足し、気候変動予測、水循環予測、地球温暖化予測 、大気組成変動予測、モデル統合化の5領域について、大気と海洋の相互作用に焦点を置 き、個別過程の基礎的な現象の解明とこれを統合化するモデル研究を行っている。

  3. 地球フロンティア研究システムは、東京の地球変動研究所、防災科学技術研究所内 に設けられた地球フロンティア共同研究サテライトに加え、日米の協力により設立された 国際北極圏研究センター(アラスカ)及び国際太平洋研究センター(ハワイ)を研究拠点 として、現在約130名の研究者で研究活動を実施中である。

  4. 宇宙開発事業団及び海洋科学技術センターは、航空・電子等技術審議会地球科学技 術部会において提言されている他の2つの機能すなわち観測システム(地球観測衛星「TR MM」、海洋地球研究船「みらい」など)及びシミュレーション(「地球シミュレータ」の 開発など)と一体となって地球変動予測の実現を目指した活動を展開中である。


履歴書

1999年1月7日
氏名     松野太郎(英文論文著者名:Taroh Matsuno)
生年月日   1934(昭9)年10月17日
所属・職   地球フロンティア研究システム、システム長
同上所在地  〒105 - 6791 東京都港区芝浦 1 - 2 - 1
       シーバンスN館 7階
       TEL 03 - 5765 - 7100 FAX 03 - 5765 - 7103

学歴
    1957(昭32)年 3月 東京大学理学部卒業(物理学科、地球物理学コース)
    1959(昭34)年 3月 同上大学院修士課程修了(数物系研究科 
                  地球物理学専攻)
    1962(昭37)年 3月 同上博士課程退学
    1966(昭41)年 5月 理学博士学位取得(東京大学)
職歴
    1962(昭37)年 4月 東京大学理学部助手
    1966(昭41)年 6月 九州大学理学部助教授(物理学科、大気物理学)
    1971(昭46)年 6月 東京大学理学部助教授(地球物理学科、気象学)
    1984(昭59)年 4月 同上 教授 (同上)
    1991(平 3)年 4月 東京大学気候システム研究センター教授
                 (センター長)
    1994(平 6)年10月 北海道大学大学院地球環境科学研究科 教授
    1997(平 9)年10月 地球フロンティア研究システム、システム長(兼任)
    1998(平10)年 3月 北海道大学、教授 停年退官
    1998(平10)年 4月 地球フロンティア研究システム、システム長(専任)
        現在に至る。この間、

    1968年10月—69年10月 米国ワシントン大学大気科学科客員研究員
    1968年10月—70年10月 米国プリンストン大学地球流体力学プログラ ム客員研究員
    1977年 8月—78年 8月 米国国立大気研究センター(NCAR)客員研究員
受賞
    1970年 5月 日本気象学会賞「赤道域における準地衡風運動の研究」
    1992年 5月 同上 藤原賞「大気力学並びに気候変動の研究の推進」
    1997年 7月 日本学士院賞「中間圏・成層圏大気力学の解明」
専門分野
    気象学、得に大規模運動の力学、気候ダイナミックス
研究歴
    1958—59年 雲層の赤外放射特性
    1960—64年 差分計算法など数値天気予報の基礎
    1964—66年 赤道域大気・海洋の大規模運動の力学
    1966—82年 成層圏・中間圏の大気大循環、プラネタリー波の力学
    1982—85年 プラネタリー・ロスビー波の力学、メソスケール雲クラスターの成因
    1985—    気候システムのダイナミックス、地球温暖化予測の基礎