2.地球観測フロンティア研究システムの位置づけ
観測フロンティアは、卓越した研究指導者を中心とした流動研究員方式のもと、観測及びデータ・サンプル処理には研究技術者の協力を得て、地球変動を解明するための観測研究を実施します。
海域及び陸域の観測手段は、海洋科学技術センターの海洋地球研究研究船「みらい」、関係省庁・大学の海洋観測船等との協力、各国の協力、衛星の利用、その他観測手段のチャーター等により確保します。
観測フロンティアは、地球フロンティア(モデリング)と一体的に研究を推進するとともに、平成13年度に完成予定の地球シミュレータ(実効5TFLOPS)の研究開発と三位一体で地球変動予測の実現に資するものです。
また、これに関連して、日米政府間のコモンアジェンダ(日米包括経済協議における地球的展望に立った協力のための共通課題)のもとで、ハワイのIPRC(国際太平洋研究センター)及びアラスカのIARC(国際北極圏研究センター)が日米協力により設置されています。
(a) 西部熱帯太平洋・インド洋の海洋大気相互作用の解明(同海域の大気海洋変動メカニズム、季節内振動の役割、エルニーニ ョ、アジアモンスーンとの関係等の解明、メソスケールの雲群を含む熱帯海域での大気海洋相互作用の解明など)
(b) 亜表層・中層の海洋変動の解明(衛星、定置ブイ、漂流式自己昇降型フロート等による海盆スケールの変動観測手法及びデ ータ同化手法の確立、サブダクション、乱流混合など亜表層・中層水の変動メカニズムの解明など)
(c) 日本沿海短期予測可能性実験(海面高度、海底圧力の観測による黒潮流量変動の評価手法の確立、黒潮変動メカニズムの解 明など)
の3課題から構成されます。
観測手段として、ドップラーレーダー等の観測機器を有する海洋地球研究船「みらい」、定置ブイネットワーク、漂流式自己昇降型フロート、ゾンデ、衛星などを有効に活用します。
(a) ユーラシア大陸の陸面水循環過程と大気・陸面相互作用の解明(寒冷圏、乾燥・半乾燥地域、チベット高原、湿潤熱帯の凍 土、積雪、植生、水文などの観測研究による陸面の熱・水・エネルギー循環の解明など)
(b) 東アジアと西部熱帯太平洋における雲・降水過程の解明(ドップラーレーダー、ゾンデ等による、東アジアの梅雨前線帯及 び暖水プール上の対流活動域における雲・降水物理過程の解明など)
(c) モンスーンアジアでの広域大気・水循環変動過程の解明(高層ゾンデ観測、GPS水蒸気観測、同位体水循環観測などによる モンスーンアジア全域での大気水循環及び水蒸気量の時空的変動の解明など)
の3課題です。
○要求される研究者
観測研究に従事する研究者として、気象学、気候学、水文学など、広義の大気・水圏科学に関する分野を専攻し、野外での観測を含めたデータ解析、数値モデル又は衛星画像解析による研究に興味のある方々を求めています。
○今回の募集人数 5−6名
(a) アラスカ陸域及びベーリング海から北極海への淡水フラックス・バランスの観測研究
を開始するとともに、12年度以降に、
(b) 北極海の海洋・海氷・大気相互作用その他の観測研究も開始する予定です。
今回、地球観測フロンティア研究システムのビジティング・サイエンティストとして日本からIARCに赴任可能な研究者を募集します。
○要求される研究者
今回の募集では、上記の物理的側面と相互作用を行う生物化学的側面に焦点をあて、多分野にわたる複雑系解明にチャレンジする研究者を対象にしています。そこで、以下の分野を専門とする研究者を募集します。
・北極域・亜極域の気候変動データ解析とモデリングの融合
・海氷の力学熱力学過程の解明
・大気海氷海洋の相互作用のメカニズム
・極域海洋における生物化学と物理過程の結合
・大気組成、とくにエアロゾルあるいはオゾンと大気大循環の相互作用
・陸域生態系、雪氷、凍土と大気の相互作用
・古気候・古海洋のモデリング
○今回の募集人数 5−6名
7.雇用身分及び雇用期間
雇用者は研究体制及び研究分野等を考慮し、契約研究員又は研究推進スタッフとして受け入れます。
雇用は年俸制で、1年毎に契約更新いたします(ポスドクで最低3年間、一般研究員で最低5年間を目途と考えています。観測研究計画は第I期:平成19年9月末まで、第II期10年間を予定しています)。