3.具体的には、アジア・太平洋地域を対象として、陸域においては幅広い気候帯での生物種の分布や生物現存量、一次
生産量など生態系の基本的なパラメータの現状を既存のデータ等により把握し、さらに、生態系の動態機構や生態系—
大気系における物質の循環機構並びに要素間相互作用等の機構を解明し、そのモデル化を行う。また,海洋においては
海洋の物質循環に大きな役割を果している海洋表層の生物群集の構造と機能の数年から数十年スケールでの変動と海洋
表層の物理的環境場の変動を、既存の海洋データ及び衛星データの複合的な解析からモデル化し、これらの効果を取り
入れた地球変動予測モデルの構築を目指す。
(2)地球フロンティア研究システムは「地球変動予測の実現に向けて」において提言された研究を具体的に推進するため
の仕組みとして、流動研究員方式を積極的に活用した体制を整備したものであり、地球を1つのシステムとして捉え
その変動と予測に関する研究を実施している。当該研究システムは、平成9年10月に気候変動予測、水循環予測、
地球温暖化予測、モデル統合化の4領域について研究を開始し、昨年10月には大気組成変動予測研究領域を立ち上
げ、大気と海洋の相互作用に焦点を置き、個別過程の基礎的な現象の解明とこれを統合化するモデル研究を行ってい
る。
(3)地球フロンティア研究システムは、東京の地球変動研究所、防災科学技術研究所内に設けられた地球フロンティア共
同研究サテライトに加え、日米の協力により設立された国際北極圏研究センター(アラスカ)及び国際太平洋研究セ
ンター(ハワイ)を研究拠点として、現在約150名の研究者で研究活動を実施中である。
(4)宇宙開発事業団及び海洋科学技術センターは、航空・電子等技術審議会地球科学技術部会において提言されている他
の2つの機能すなわち観測システム(地球観測衛星「TRMM」、海洋地球研究船「みらい」など)及びシミュレーシ
ョン(「地球シミュレータ」の開発など)と一体となって地球変動予測の実現を目指した活動を展開中である。さら
に本年8月にはモデリング研究に必要な観測データの取得を目的とし、関係省庁・大学等の持つ観測船、民間のボラ
ンティア船を活用するなど、大学・省庁を越えて広範な協力を行う「地球観測フロンティア研究システム」が発足
し、地球フロンティアと綿密に連携した観測研究が開始された。