(参 考)
深海環境微生物研究の概要
1.はじめに
海洋科学技術センターは、平成2年10月に深海環境プログラムを発足させ、平
成5年8月の深海環境実験システムの完成を経て、これまで研究者に手の届くこと
の無かった高圧極限環境下での微生物の研究プロジェクトがスタートしました。
本プロジェクトは、平成10年9月に第1期を終了し、同年10月より7年の予
定で第2期が開始されました。現在、深海環境フロンティアの研究は、(1)深海
環境応答研究チーム (2)代謝・適応機能研究チーム (3)ゲノム解析研究チー
ムの研究体制で、世界的な評価を受けながら先導的・基礎的研究を推進しています。
2.主な研究成果
(1)駿河湾、深度1,945メートルの海底泥等から石油分解細菌をはじめとす
る有用微生物の発見。
(2)日本海溝、深度6,500メートルの海底泥等から新規の好圧性細菌を発見。
その後、4種の好圧性細菌を報告。
(3)沖縄トラフ、南部マリアナトラフ、伊豆・小笠原トラフ等の海底泥から新種
の超好熱古細菌を発見し、その微生物の多様性を解明。
(4)世界最深部海域のマリアナ海溝チャレンジャー海淵、深度約1万1千メート
ルの海底泥から、超絶対好圧性細菌(新種)等を発見
(5)有用な微生物である好アルカリ性細菌のゲノム解析に成功
(6)新しい研究分野である「圧力生理学」(高圧下における細胞生理学)の提唱。