極限環境生物フロンティア研究システムの発足について

平成13年4月18日
海洋科学技術センター
1.       概要
 本年4月1日、海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)は、深海底や地殻内の極限環境下の生物圏に関する諸現象を解明するために、既存の「深海環境フロンティア」を発展させ、「極限環境生物フロンティア研究システム」を発足させた。また、本研究システムの全体責任者(システム長)に、元深海環境フロンティア長の掘越弘毅氏が就任した。

2.            背景
 近年、地殻内深くにも多くの微生物が棲息することが知られるようになり、原核生物の80%以上が、地殻内に存在するという推定もある。従って地殻内微生物は、生命の起原と進化、地球上の物質循環、環境問題、石油やメタンハイドレート等の資源等に大きく関与していると考えられる。
 当センターでは、深海地球ドリリング計画を国際共同研究プロジェクトとして推進中である。この計画の重要な課題の一つが、地下生物圏である。本研究システムは、上記国際共同研究プロジェクトの日本における研究拠点となる。

3.研究内容と研究体制
 本研究システムは、以下の研究を実施する。実施にあたっては、深海バイオベンチャーセンターを通 じて民間とも連携する。

i) 高圧、高温、低水分、貧栄養、低酸素等の極限環境に適応する、人類が未だ触れたことのない新規な微生物を発見(地殻内微生物研究領域)
ii) 地殻内のどこに、どんな微生物が、どれほど棲息しているか、そしてどんな働きをしているかを解明(地殻内生態系研究領域、14年度発足予定)
iii) 従来の深海微生物研究の継続・発展(深海微生物研究領域)

 これらの研究から、科学的には生命の起源や極限環境への適応機構の解明に、産業応用上では新規微生物の発見とそのゲノム解析等を通して、新しいバイオテクノロジーの開拓に寄与する。

 4.システム長
 本研究システム長に就任した掘越弘毅氏は、好アルカリ性微生物とその応用等、極限環境微生物研究の世界の第一人者で、従来の深海環境フロンティアのフロンティア長を務めていた。

             問い合わせ先:海洋科学技術センター  
               総務部普及・広報室 志村、月岡
                電話 0468-67-3806
               フロンティア研究推進室 西村、小原
                電話(0468)67-3389
                FAX(0468)66-5306

(添付資料)
 別添1:システム長の略歴
 図−1:極限環境生物フロンティア研究システムの体制
 図−2:極限環境生物フロンティア研究システムの研究概要
 図−3:深海バイオベンチャーセンター
 別添2:(参考)これまでの主要な成果(深海環境フロンティア)
 別添3:用語解説