(参考資料) 日本南岸の黒潮流路について
日本南岸の黒潮流路は、3種類の安定な流路をとることが知られている。大蛇行流路(Large-meander:LM)、非大蛇行離岸流路(offshore non-large-meander:oNLM)、そして非大蛇行接岸流路(nearshore non-large-meander:nNLM)である(Kawabe,1985)。1990年代以前は1年以上にわたり長期間継続する典型的な大蛇行流路が出現したが、1990年代以降は3流路が短期的に入れかわる不安定な状態となっている。黒潮が南に蛇行すると漁場が南に移動するなど漁海況に大きな影響を与える。また、黒潮が日本南岸に接近すると水温や潮位が急上昇するなど、沿岸の海況も大きな影響を受けることが知られている。
黒潮の大蛇行流路は、九州の南東沖で生じた黒潮の小蛇行(引き金蛇行)が東に移動し、紀伊半島の東側で増幅して生じる。近年の観測やモデル研究の進展により、黒潮流路の変動に対して直径200km-400kmの渦(海洋中規模渦)が引き金蛇行の発生等に影響を与えることが示唆されている。