平成13年12月20日
海洋科学技術センター  

太平洋・大西洋・インド洋で新種の深海巨大イカを発見

 海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)の海洋生態・環境研究部のドゥーグル・J・リンズィー研究員は、1998年に実施した「しんかい6500」インド洋航海に参加し、アトランティスバンクの2,340m地点で潜航した時のビデオに巨大イカが撮影されているのを確認しました。そして、そのイカについてアイルランドで開催された第9回Deep-Sea Biology Symposiumで講演しました。この講演を契機に、フランスやアメリカの潜水調査船などにより撮影された映像情報の再チェックが行われました。そして、この巨大イカはMagnapinna(大きい翼という意味)という属に属する新種で、これまでに8個体の同属種が大西洋、インド洋、太平洋の1940m〜 4735mの深層域から報告されているだけの非常に珍しい生物であることが分かりました。

 海洋の90%以上を占める中・深層域に生息する生物の研究は、100年以上も前からプランクトンネットなどを使って行われてきました。しかし、ネットなどによる調査では脆弱な体を持つクラゲなどは潰れてしまい完全な状態で採集することができませんでしたし、ネットで近底層と呼ばれる海底直上を曳網することも極めて困難でした。そのため、全長7mにもおよぶ巨大な生物が、世界中の海に分布していたことが分からなかったのです。私達の海に対する知識の無さを物語っています。

 この発見は21日(米国:日本時間22日)に発行されるサイエンス誌に掲載されます。

問い合わせ先               
海洋科学技術センター           
海洋生態・環境研究部 Dhugal J. Lindsay
e-mail:dhugal@jamstec.go.jp
総務部普及・広報課 志村・野澤     
電話0468−67−9066