1.状 況
海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)の北太平洋時系列観測研究において平成14年10月よりカムチャッカ半島南方570km沖(別図-1)に定点係留していた係留型観測機器の所在が不明となりました。
2.係留型観測機器について
所在が不明となった観測機器は長さ約5000m(別図-2)で、不明の機器のなかには放射性同位元素
炭素14(使用量14.8 メガベクレル)を利用した基礎生産力測定用自動培養装置(SID)が含まれます。係留型観測機器は水深約5206mの海底にシンカー(2.1ton)によって固定され最上部のトップブイは水深30mに設定されています。そのトップブイが海面に浮上して太陽光を感ずる、23時間後に位置情報を発信する衛星通信装置を備えています。
3.経 過
深海調査研究船「かいれい」は平成15年10月 4日 日本時間04時30分、現場海域(北緯47度0.226分、東経159度58.421分)にて観測機器回収のため、音響切離装置に信号を送信しました。06時10分海面上に切り離されたガラスフロートを発見、07時10分
切離装置及び直上のガラスフロートを回収しました。しかしながら、ガラスフロート上部の接続チェーンから上方の一連の観測機器がなくなっていることが判明しました。
4.放射線源の影響について
人及び周辺環境への影響はありません。不明となった線源の放射能は、IAEA の国際基準では、規制が免除される量(10メガベクレル)と同程度であります。万が一、本装置の線源が海中に流出した場合、海水7.4mª以上に拡散すれば排水中の濃度限界2Bq/cmªとなり法定の濃度以下となります。炭素14は周囲の大量の海水と容易に混合されるため、天然レベルにまで迅速に希釈され、従って人体、生態系に影響をおよぼすことはないと考えられます。
5.今後の予定
現在、当該海域にてブイの捜索を継続中であり位置信号の確認を行っています。
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海洋科学技術センター
むつ研究所 伊藤、中埜
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