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(上図)南極周辺の海域では、海面を南下してきた温暖な海水が海面で冷却され、密度を増し、沈降しながら世界の海洋の中層、深層に戻っていく。この様子を南極オーバーターンと呼んでいる。沈降する海水量は、毎秒4000万立方メートルと推算されており(東京ドーム32杯分)、その冷却によって3PW(P=10の15乗)の熱(2000年に日本が消費した全エネルギーを1時間45分でまかなう大きさ)が放出され、大気を過熱している。このような大規模な対流(オーバーターン)は、南極周辺以外に、北大西洋グリーンランド付近を起点とするものもあり、「海洋コンベアベルト」として、大西洋と太平洋の塩分、真水のバランスを維持していることで有名である。
(下図)南太平洋で沈んだ海水は、ニュージーランドの東の深層、そしてサモア島付近の深海通路を抜け、北太平洋底層にもたらされている(Nature掲載図)。