用語解説


注1: 光化学オキシダント(OX):
  光化学スモッグの原因となる大気中の酸性化物質(酸化力の強い物質)の総称。工場や自動車などから排出された窒素酸化物(NOx)と炭化水素(HC)が紫外線により化学反応を起こし、オゾンを主成分(90%以上)とし、パーオキシアセルナイトレート(PAN)、過酸化水素などを含む酸化性物質が形成される。光化学オキシダントが高濃度になると、光化学スモッグが発生し、健康被害が起きたり、植物が枯れたりする影響が出る。
 


注2: オゾン:
  ここで言うオゾンは、対流圏(地表)のオゾンを指す。対流圏では、自動車や工場等から排出される二酸化窒素(NO2)が、太陽光により酸素原子と酸素分子に分解され、オゾンが形成される。光化学スモッグの主な原因で、生物にとっても有害な大気汚染物質。IPCC第3次報告書では二酸化炭素、メタンに次ぐ第3の最も重要な温室効果ガスであるとされている。一方成層圏では、太陽からの強い紫外線が存在し、大気中の酸素(O2)を分解し,できた酸素原子(O)と酸素分子(O2)からオゾン(O3)が形成される。同時に、オゾンは光を吸収して分解し,酸素原子と酸素分子に戻る反応が起こり、この際、地球の生物に対して有害な紫外線を吸収する。
 


注3: 全球化学・輸送モデル(FRSGC/UCI):
  カリフォルニア大学アーバイン校が開発した気候モデルに光化学反応を組み込んだ全球3次元化学輸送モデルを地球フロンティア研究システムが改良したもの。大気中輸送・化学反応、降水除去などを計算し、オゾンや硫酸エアロゾルなどの生成・分布を全球的にシミュレートできる。
 


注4: スーパーコンピューターSX5:
  地球フロンティア研究システムが保有する最先端の超高速・高集積のCMOSテクノロジを採用し、共有メモリと分散メモリアーキテクチャを融合した超高速スーパーコンピュータ。科学技術計算分野で幅広く利用可能であるため、全地球規模におけるさまざまなプロセス研究などに使用されている。また豊富なRAS機能により、迅速な故障診断と容易な予防保守を実現し、システムの信頼性・稼働性・保守性を総合的に高めている。
RAS: Reliability, Availability, Serviceability(信頼性・稼働性・保守性)
CMOS: Complementary Metal Oxide Semiconductor(相補性金属酸化膜半導体)低消費電力を特長とした半導体回路

 


注5: その理由はヨーロッパからのオゾンが比較的地表付近で輸送されるため、地表面で壊される量が多いのに対し、北米からのオゾンは大西洋上で上空へ運ばれ、偏西風に乗って我が国まで効率よく運ばれるためである。