平成17年2月23日
海洋研究開発機構
海洋調査船「なつしま」によるスマトラ地震の際に生じた急峻な地形と
その地形による崩落や地滑り痕を発見

 スマトラ島沖地震の震源域で調査にあたる海洋研究開発機構(理事長 加藤 康宏)の海洋調査船「なつしま」(1,739トン)は、平成17年2月22日(火)スマトラ島沖で海底地形調査を行い、無人探査機ハイパードルフィンを使って震源域の海底において潜航調査を実施し、スマトラ地震の際に生じた急峻な地形とその地形による崩落や地滑り痕を発見した。

  1. 今回の地震を引き起こした海底地震断層は見つかっていない。


  2. 震源付近の海底では、以下の理由により、崖の崩落や地滑り等が起き、崩落した堆積物が深海へ運ばれたたことが示唆される(これは初めて明らかとなった)。


  3. (1) 海底谷の下流域では、混濁した層が発達している。また、音波探査の結果では、起伏の大きな凸凹な地形がありそうである。

    (2) 海底谷の上流域では、混濁は特にみられず(写真1-11-2)、斜面崩壊を引き起こした崩落地形、特にエッジの尖った崩落境界地形(写真2)が多数みつかる。また、段丘テラスでは、リップル(砂レン)を作り移動するはずの砂で充填されていない開口型割れ目等(写真3)が多数発達する。

    (3)海底谷の中・上流域は急峻な斜面を呈し、崩落した岩や地滑り堆積物で覆われている。ここでは、巣孔や表層に棲む生物やエビ等の底棲生物がみられなかった。

    今回調査したような地形はこの地域で多数あり、潜航海域はその一つで、なにも特別なものではない。従って、このような斜面崩壊はこの斜面等では普遍的に起こっていたことが考えられることより、外縁隆起帯の海側斜面では大量の崩落堆積物が深海へもたらされ、その表層では大きな環境変化が生じていたと考えられる。


    写真説明

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