平成17年8月10日
海洋研究開発機構
トライトンブイ18号基の気象センサー盗難について


  1. 状 況
  独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤 康宏)のトライトンブイ(海洋観測ブイ)18号基(平成16年7月12日、南緯1.5度、東経90度に設置:図1)は、海洋地球研究船「みらい」による定期的交換のため、平成17年8月9日に回収を行ったが、ブイに搭載した気象センサーが無くなっていることが判明した(図2)。
  同ブイには船の接触跡があること、また、気象センサーは、タワーに盗難防止ボルトで強固に固定したものであり、それらが取り付け部分から切断されていることから、気象センサーのデータが欠測し始めた本年7月中旬に盗難にあったものと推察される。

  2. 今回設置した18号基の対策
 
 今回被害にあった18号基は、平成16年7月にも気象センサーおよび浮体内に格納した電装容器が全て盗難にあっており、気象センサーの取り付け用盗難防止ボルトの種類を1種類から2種類に変更し、ステンレス製バンドを用いて取り付けを強化するとともに、電装容器の格納蓋に溶接を施したうえ設置していた。今回回収した結果では、電装容器の盗難は免れたが、気象センサーは取り付け部分が切断され、全て盗難にあった(図3)。
 太平洋西部およびインド洋での展開域は、比較的陸に近い海域であり、人為的被害は後を絶たず、毎年防止対策を強化してきており、今回設置する18号基を含め今回の航海で設置するブイの全てには、盗難防止ボルトの追加(2本→4本)と気象センサー取り付け金物の強化(肉厚3mm→5mm、面積を5倍に増強)(図4)、電装容器の格納筒蓋固定の二重化など、幾つかの新たな対策を講じている。この地点では気候変動に大きな影響を与えるダイポールモード現象の解明の観点から気象データ取得が研究上重要であり、気象観測を続ける必要があるため、今回の盗難を踏まえ、更なる盗難防止対策を検討していく。
 
(日時は全て日本時間)
 
  問い合わせ先  
   海洋研究開発機構  
    海洋工学センター研究支援部観測ブイ運用グループ担当 松本 健寛
 TEL046-867-9872
 
    経営企画室報道室長 大嶋 真司
 TEL046-867-9193