平成17年9月30日
独立行政法人海洋研究開発機構
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高知コア研究所の設立について(お知らせ)
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1.概要 |
独立行政法人海洋研究開発機構(本部 神奈川県横須賀市 理事長 加藤康宏)は、平成17年10月1日 既存の高知コアセンターを改組し、高知コア研究所(以下「本研究所」という)とすることとする。
所長には、東 垣(あずま わたる)(同機構地球内部変動研究センター 掘削試料研究プログラム プログラムディレクター)が就任する。
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2. 背景 |
海洋研究開発機構は、これまで統合国際深海掘削計画(IODP)のコア解析拠点として、高知大学海洋コア総合研究センターの施設・設備(以下「本施設」という)について、高知コアセンターにおいて高知大学と共同で管理・運営を行ってきたが、さらに、巨大地震1)等の解析を実施してきた研究部門を本研究所に移すことで、掘削試料の研究・分析・保管に関し、世界最先端を誇る本施設を活用していく。 |
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3. 研究内容と研究体制 |
海洋研究開発機構は、研究活動を進めるにあたって高知大学との連携をより一層強化し、開かれた研究機能および人材育成機能を備えることとしている。具体的な研究活動としては、巨大地震の発生メカニズムを解明するために必要な地震断層面2)の掘削を行い、地下深部構造の詳細な観察と本研究所の機能を活用した高精度の科学分析・実験を行う。さらに、地球表層の物質循環を解明するために、海底の表層堆積物3)などを用いた研究を行う。
研究体制としては、研究所所長のもとに、2つの研究グループ、機器運営等を行う科学支援グループ、推進業務を行う管理課を置き、研究を開始する。 |
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● 研究グループ |
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1. |
地震断層物性研究グループ 地震断層掘削によって得られる地下深部の断層面について、詳細な観察と高精度な科学分析や実験を行い、地震発生・破壊伝播4)過程に関する研究を進める研究グループ
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2. |
掘削試料物質研究グループ |
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堆積物等のコア試料を用いて、高精度・微小領域5)の同位体分析6)を主とした解析を行い、地球表層の物質循環と環境変動の変遷記録の解明に関する研究を進める研究グループ |
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● 科学支援グループ |
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研究の科学的支援に関する業務
コア試料の分析・保管に関する業務
研究設備の維持・管理に関する業務 |
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● 管理課 |
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高知コア研究所にかかる推進業務 |
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1) |
巨大地震 |
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2004年12月26日にインドネシア・スマトラ島沖の海底で発生した海溝型巨大地震など。海洋研究開発機構は直ちに指揮を執り、国内各機関、インドネシア応用庁をはじめとした国際パートナーの協力を得、余震の続く震源海域での緊急調査を実施した。 |
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2) |
地震断層面 |
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地震の時に活動した断層における、実際に滑りが生じた面。 |
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3) |
表層堆積物 |
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海底面付近に堆積している砂や泥などの堆積物の総称。 |
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4) |
地震発生・破壊伝搬 |
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地震発生は、地震が発生し、破壊伝播は、その地震が発生した時点において震源からの破壊が周辺に伝搬していく現象のこと。 |
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5) |
微小領域 |
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地学試料では、ある一定の岩石試料の塊を粉にして、その化学組成等を分析することを全岩分析と言い、それに対して、レーザー等を用いて試料の一部の化学組成等を分析することを微小領域分析と言う。
例えば、レーザーを用いた微小領域分析ではマイクロメートル単位の範囲の分析が行われている。 |
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6) |
同位体分析 |
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ある1つの元素に関して、異なる質量数の核種をその元素の同位体と言う。
例えば、炭素には質量数が12の炭素と13の炭素が存在するが、これは、どちらも炭素の同位体と言う。
ある地学試料の同位体の比が分かれば、その地学試料の年代や起源といった地球科学においてとても重要な情報が得られる。このように同位体の比を分析することを同位体分析と言う。 |
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