プレスリリース


2012年 2月 24日
独立行政法人海洋研究開発機構

統合国際深海掘削計画(IODP)第340次研究航海の開始について
〜小アンティル諸島沖掘削による火山性海底地滑り発生機構の解明〜

この度、統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)()の一環として、「小アンティル諸島沖掘削による火山性海底地滑り発生機構の解明」(別紙参照)を実施するため、米国が提供するジョイデス・レゾリューション号の研究航海が3月3日から開始されます。

本研究航海では、カリブ海東縁部において海底地すべり堆積物を掘削し堆積物コアの採取を行い、島弧火山の形成・崩壊過程を解明することを目的としています。日本から8名が乗船するほか、米国、欧州、中国、オーストラリア、インドからも含め、計28名が乗船研究者として参加する予定です。

※統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)

日・米が主導国となり、平成15年(2003年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧州、中国、韓国、豪州、インド、ニュージーランド の24ヶ国が参加。日本が建造・運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船ジョイデス・レゾリューション号を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行う。

別紙

小アンティル諸島沖掘削による火山性海底地滑り発生機構の解明

1.日程(現地時間)

平成24年3月3日
サン・ファン(プエルトリコ)より出港
カリブ海東縁域にて掘削を実施
平成24年4月17日
キュラソー島(オランダ領アンティル)に入港
(掘削航海終了)

なお、準備状況や調査の進捗状況等によって変更の場合があります。

2.日本から参加する研究者

氏名 所属/役職 乗船中の役割
(担当分野)
石塚 治 産業技術総合研究所/主任研究員 共同首席研究者
田村 芳彦 海洋研究開発機構/チームリーダー 堆積学・火山学
片岡 香子 新潟大学/准教授 堆積学・火山学
前野 深 東京大学地震研究所/助教 堆積学・火山学
遠藤 大介 筑波大学/大学院生(博士後期課程) 堆積学・火山学
藤縄 明彦 茨城大学/教授 堆積学・火山学
足立 辰也 山形大学/大学院生(修士課程) 物理特性・孔内計測
齋藤 武士 信州大学/助教 古地磁気

3.掘削及び研究の概要

本研究航海では、カリブ海東端の小アンティル諸島沖の9地点において約130〜510m(水深約790〜2940m)の掘削を行い、小アンティル諸島を構成する活動的火山の形成発達過程で形成される火山性堆積物や海底地すべり堆積物を掘削し、コア試料の採取および孔内検層を実施します。

本研究航海の主な研究目的は、採取したコア試料や孔内検層データの分析により、島弧火山の形成・崩壊過程を明らかにすることです。そのため、マグマの生産および噴火活動の時空間的な復元、火山の岩屑なだれのきっかけ、運搬・堆積をコントロールするメカニズムなどを解明するとともに、爆発的噴火や岩屑なだれに起因する津波等の火山ハザードのリスクアセスメントを行うことも目指します。

図1

図1 本航海での掘削海域(白い囲み)と乗下船地の位置。

図2

図2 図1の白い囲み部分の拡大図(赤丸が掘削地点)

お問い合わせ先:

独立行政法人海洋研究開発機構
(IODPおよび本航海について)
地球深部探査センターIODP推進・科学支援室 科学計画グループ
グループリーダー 菊田 宏之 TEL:045-778-5644
(報道担当)
経営企画室 報道室 奥津 光 TEL:046-867-9198