2013年 1月 11日
独立行政法人海洋研究開発機構
独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦)は、地球深部探査船「ちきゅう」による統合国際深海掘削計画(※1 IODP) の一環として、第338次研究航海「南海トラフ地震発生帯掘削計画」ステージ3を平成24年10月3日より実施しておりましたが、本年度の作業を終了し、平成25年1月13日(予定)に静岡県清水港に入港することとなりましたのでお知らせします。
1.調査概要
平成24年度は、紀伊半島沖約80㎞の海底下860mから3,600mまでの掘削を計画しておりましたが、海底下2000mまで掘進したところで海象の急変により機器の一部に損傷が生じたため(平成24年11月22日既報)、当初の計画を変更し、平成26年度に予定していた他地点における掘削を実施して、コア試料の採取及び掘削同時検層(※2)を行いました(掘削地点は図1参照)。
これらの掘削は、巨大分岐断層の活動履歴や沈み込む前の海洋プレートの地層物性、沈み込む海洋プレートからはぎ取られて形成される付加体の内部構造等の情報を得ることを目的としています。この情報とこれまで及び来年度以降の掘削調査で得られる情報を総合的に分析することにより、海洋プレート沈み込み帯の構造・形成過程やプレート境界断層の変動を明らかにし、巨大地震・津波発生メカニズムを解明することを目指します。
なお、海底下2000m以深の掘削は、来年度再開する予定です。
2.今後の「ちきゅう」の運航予定
・1月13日 静岡県清水港(興津埠頭)入港予定
・1月13日~3月下旬 受託事業(渥美半島沖)
※1 統合国際深海掘削計画(IODP:Integrated Ocean Drilling Program)
日・米が主導国となり、平成15年(2003年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧州、中国、韓国、豪州、インド、ニュージーランド、ブラジルの26ヶ国が参加。日本が建造・運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船ジョイデス・レゾリューション号を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行う。
※2 掘削同時検層
地質の特性や断層を把握するため、ドリルパイプの先端近くに物理計測センサーを搭載し、掘削と同時に孔内で各種計測を行うこと。
図1.掘削地点
【地震発生帯直上の堆積物の調査】
C0002 位置:33°18.5′N 136°38.2′E、水深:約1940m、掘削深度:約1120m、
作業内容:コア試料の採取
(当初3600mまで掘削する予定だった掘削孔に近接する別の掘削孔)
【大陸プレートに沈み込む前の海洋プレートの調査】
C0012 位置:32°44.9′N 136°55.0′E、水深:約3510m、掘削深度約700m、
作業内容:掘削同時検層
【巨大分岐断層の活動履歴を記録した地層の調査】
C0018 位置:33°09.4′N 136°40.9′E、水深約3090m、掘削深度約350m、
作業内容:掘削同時検層
C0021 位置:33°10.0′N 136°39.8′E、水深約2940m、掘削深度約290m、
作業内容:掘削同時検層・コア試料の採取
C0022 位置:33°13.1′N 136°43.5′E、水深:約2680m、掘削深度:約420m、
作業内容:掘削同時検層・コア試料の採取
※ コア試料合計832.4m、掘削同時検層合計3780.5m。今後これらの分析、解析を実施。