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プレスリリース

2018年 9月 18日
国立大学法人富山大学
国立大学法人名古屋大学
国立研究開発法人海洋研究開発機構
国立大学法人九州大学

日本海は450万年前に太平洋と分離した

現在,日本海は,130m以浅の海峡で外洋と繋がって外洋と表層水のみ交換しており,日本海の深層水は外洋の太平洋と完全に隔てられています。この閉鎖性が,日本海独自の深層水循環を形成する要因になっています。

日本列島の一部は,約2500万年前にユーラシアから分裂し,日本列島とユーラシアの間に今の 日本海となる海盆を形成しました。1000万年前には,⻄日本は朝鮮半島と陸続きになっていましたが,東日本の大部分は海面下にありました。当時の日本海は,北日本側に開いた湾のような形状をし,太平洋の深層水と海水交換がありました。しかし,1000万年前以降,東日本〜北海道地域が徐々に隆起し,太平洋と日本海の間にあった海峡が徐々に縮小・浅海化して,日本海が半閉鎖的になっていきました。この過程は,東北日本の隆起活動や日本列島の形成と密接に関係していますが,日本海の閉鎖がいつどの程度の時間スケールで起こったかについては,その推定精度が欠けていました。

国立大学法人富山大学大学院理工学研究部(理学)堀川恵司 准教授,富山大学大学院理工学教育部 小坂由紀子(博士課程3 年),名古屋大学の淺原良浩 准教授,海洋研究開発機構の天川裕史 特任主任技術研究員,九州大学の岡崎裕典 准教授らの研究グループは,2013年に統合国際深海掘削計画(Integrated Ocean Drilling Program(IODP)346次航海)で採取された日本海の海底堆積物に含まれる魚⻭/骨片化石のネオジム同位体比分析を行いました。その結果,約450万年前に,14 万年程度と非常に短期間で,日本海と太平洋を隔てる東北域にあった海峡が急激に縮小・浅海化し,日本海の閉鎖性が強まったことを地球化学的なデータから初めて明らかにしました。さらに,日本海の閉鎖性が強まった後,日本海で反時計回りの海洋循環が強化され,それに伴って日本海へオホーツク海海水が流入しはじめ,オホーツク海と日本海を繋ぐサハリン付近の海峡が閉じる260万年前頃まで,流入が続いていたことも明らかにしました。日本列島・日本海形成の理解を深めることに繋がった本研究成果は,国土の防災・保全・開発に関する基礎知識にも寄与するでしょう。

なお,本研究はJSPS 科研費JP26870215の助成を受けたものであり,本成果は,アメリカ地質学会が刊行する学術誌「Geology」オンライン版に2018年9月11日に掲載されました。

詳細は富山大学のサイトをご覧下さい。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
広報部 報道課長 野口 剛
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