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プレスリリース

2018年 10月 12日
国立大学法人東京大学
国立研究開発法人海洋研究開発機構
国立大学法人東京海洋大学

ハワイのキハダは空気から
-亜熱帯外洋域魚類生産における窒素固定生物の寄与を解明-

全海洋のおよそ6割を占める亜熱帯外洋域表層は栄養塩が枯渇しているため、植物プランクトンの現存量が低く、「海の砂漠」と呼ばれてきました。近年、この海域では、窒素ガスを栄養源として利用できる窒素固定者が基礎生産者として重要であると考えられるようになってきましたが、その生産物が魚類生産にまで転送されているかどうかについては明らかにされてきませんでした。東京大学大学院農学生命科学研究科、海洋研究開発機構、東京海洋大学らの研究グループは、中央太平洋において、現場窒素固定速度、硝酸塩濃度および、食物連鎖構成各要素の炭素窒素安定同位体比を測定し、基礎生産者が利用している栄養源(窒素)と、その生産物が食物連鎖で上位栄養段階に転送される過程について調査を行いました。その結果、太平洋外洋亜熱帯域には、窒素固定者の寄与が明瞭に異なる三つの食物連鎖が存在していることが明らかとなりました。このうちハワイ周辺を含む15〜25°Nおよび20〜30°Sにおける食物連鎖はほぼ窒素固定者により支えていると考えられ、例えばハワイ周辺で漁獲されたキハダマグロのタンパク質生産には空気由来の窒素が寄与していることが示されました。今回の研究結果は、一見生産性の低い亜熱帯外洋域が、なぜカツオ、マグロ類などを始めとする重要な水産資源の漁場となっているのか、そのメカニズムを考える上で重要な成果であると言えます。

詳細は東京大学のサイトをご覧下さい。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
広報部 報道課長 野口 剛
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