「うらしま」は1998年からJAMSTECが開発を続けている自律型の深海探査ロボットです。機体に内蔵したコンピュータに予め設定されたシナリオに従って、自分の位置を計算しながら航走することができます。2005年2月28日には、世界記録、連続航走距離317kmを達成しました。 「うらしま」は地球温暖化のメカニズムを解明するために必要な塩分濃度、水温等の海洋データを、広範囲にわたって自動で採取することができます。また、船舶では観測が困難であった、北極海や海底火山周辺の調査が可能となります。
世界には、人を寄せ付けない荒れた海域や、氷に閉ざされた極域の海、激しく活動する海底火山など危険な海域があります。実はこのような海域は地球環境や地震、地球内部の仕組みを知るうえで、たいへん重要な場所です。
また、海水の調査でも母船から再水気を海中に降ろす方法では、広大でかつ3次元的な世界の海を調べるには限界があります。地球温暖化の原因と考えられる二酸化炭素が海洋でどのように吸収されているかなどを調べるには、さまざまな海域で多数の海水サンプルを効率的かつ自動的に採取する技術の開発が必要です。
そこでケーブルなして自力で航行し自動観測する自律型無人探査機(AUV)が必要なのです。「うらしま」のようなAUVが何機も建造され、つねに世界のあらゆる海域を自律して巡航調査する日がくれば、人類は深海の全容を初めて知ることができるようになると期待されています。